ブルー・ダイヤモンド (2018):映画短評
ブルー・ダイヤモンド (2018)ライター3人の平均評価: 2.3
感慨深いキアヌとモリーの初共演
映画ジャーナリスト出身であるマシュー・ロス監督の長編2作目。希少なブルー・ダイヤモンドをマフィアに売るためロシアを訪れた宝石商キアヌ・リーヴスが、まるでツキに見放されたかのようにジリジリと窮地へ追い詰められていく。荒涼としたロシアの大地を背景に展開する激シブなフィルムノワール。全体的に脚本も演出も淡々とし過ぎる嫌いはあるものの、ディテールにこだわったハードボイルドな雰囲気は悪くない。主人公の妻役をモリー・リングウォルドが演じているのも要注目。’80年代には実現しなかったキアヌとの初共演に、同世代としては感慨深いものがある。
キアヌとモリー・リングウォルドが夫婦に!
宝石商役とはいえ、“キアヌVSロシアン・マフィア”と聞けば、『ジョン・ウィック』的キレキレ・アクションを期待してしまう昨今。キアヌとモリー・リングウォルド初共演のサプライズは有難いが、異国シベリアでの孤立感も、マフィアが忍び寄る緊迫感も、巻き込まれスリラーの面白味もない。(西部劇を狙った)淡々とした展開と(笑えない)ジョーク、(求めてない)ラブシーンが売りだから、かなり面倒臭いのだ。『シンプル・プラン』のスコット・B・スミスが脚本だったり、ニコラス・ケイジが断った企画と聞けば、妙に納得もしてしまうが、別の監督が演出すれば、もうちょっと味わい深い作品に仕上がっただろう。
キアヌの平板な演技に耐えられるなら、ぜひ!
『フランク&ローラ 魔性のレシピ』のM・ロス監督は、サスペンスとロマンスを組み合わせるのが相当に好きらしい。しかし、本作はどちらのストーリーラインも中途半端で噛み合わない。中盤の熊狩り場面も哲学的な意味がありそうだが、「不要!」と感じたのみ。数あるツッコミどころのなかでも最高に「?」なのが、K・リーブス演じるダイヤモンド商とカフェ店主カーチャの関係性。運命的な恋という設定だろうが、情熱のかけらも感じられず、物語を展開させるパワーがない。キアヌはプロデュースも務めたくらいなので、ノリノリで演じたはずだが……。彼の平板な演技に唖然とし、カーチャ役のアナ・ウラルが気の毒に思えた。