108~海馬五郎の復讐と冒険~ (2019):映画短評
108~海馬五郎の復讐と冒険~ (2019)ライター2人の平均評価: 3.5
幾つになっても煩悩に振り回される男の哀しい性(さが)
SNSで妻の浮気を発見して嫉妬に狂った中年男が、妻のコメントについた108の“いいね”と同じ数だけの女性とセックスして散財し、離婚時の財産分与額を減らそうとするという、究極にナンセンスでシュールなリベンジ・コメディ。ところが、下手に金持ちなのでなかなか資産は減らないし、年も年なので精力が続かないし、仕事の締め切りにも追われるし…ってことで、どんどんと泥沼にハマって暴走していく。ある意味、幾つになっても煩悩に振り回される男の哀しい性(さが)を風刺した作品とも言えよう。笑いありエロありミュージカルありアドベンチャーありの出血大サービスも楽しいが、一番のサプライズは中山美穂のコメディエンヌぶりだ。
勘違いな夫&悶々妻のとんでも騒動の結末や?
松尾スズキのすべてを味わえるといっても過言ではない、珍品めいた傑作。妻に浮気された男が復讐のためにバカバカしくも壮大な計画を実行に移すのだが、デリヘルやソープではおっつかず、過激に!? 笑いが先に立って、エロくないのが松尾流か。キャラ設定に自虐が見えるし、盟友の秋山菜津子はじめとする脇キャラがまた素晴らしい笑いを提供する。売れない女優役の堀田真由のねっとり感もいい! そして驚いたのは、松尾が引き出した中山美穂の新たな側面。夫婦関係への不満からキモいダンサーのおっかけと化し、悩む美人妻をセクシーに好演する。勘違い夫&悶々妻のとんでも騒動のオチは内緒だが、見終わった時に切ない気分になるかも。