仮面病棟 (2020):映画短評
仮面病棟 (2020)ライター3人の平均評価: 3
命の価値に優劣が付けられる社会への警鐘
ピエロの仮面をかぶった強盗犯に占拠された古い療養型病院。たまたま先輩の代理として一夜限りの当直医を務めていた若き外科医は、犯人と対峙する院長や看護師たちの奇妙な言動に疑問を抱き、やがて病院の裏に隠された恐るべき秘密を知ることとなる。一部の上級国民がその他大勢の庶民を搾取し、命の価値に優劣が付けられる社会への警鐘とも受け取れるストーリーは、昨今の日本の社会状況を鑑みるとタイムリーではあるものの、サスペンスの筋立てとしては少々安易にも感じられる。そのご都合主義的な欠点を補っているのが、坂口健太郎と永野芽郁の抑制を効かせた芝居。高嶋政伸演じる院長のクズっぷりも安定感がある。
永野芽郁が新境地に挑む
師である堤幸彦同様、お笑い要素を入れることで、とんでもない方向に行きがちな木村ひさし監督だが、本作は至ってシリアス路線。『十二人の死にたい子どもたち』のようなギミックもなく、原作者が脚本に参加していることもあり、脚色部分も含め、しっかりミステリーに仕上がっている。そのため、同じ病院が舞台のジョニー・トー監督の『ホワイト・バレット』には及ばないものの、緊迫感はそこそこ持続し、複線回収もそこそこ心地良い。真犯人に関しても、そこそこ裏切ってくれるうえ、まさかの『タクシードライバー』的展開もアリ。永野芽郁が新境地に挑んだキャラということもあり、彼女のファンなら観て損はなし。
ミステリー初挑戦の永野芽郁に注目!
昨年『十二人の死にたい子供たち』をヒットさせたワーナーブラザースが手掛ける本格密室ミステリー。
監督が『屍人荘の殺人』の木村ひさし監督ということで題材との相性は抜群。
男くさい坂口健太郎もいいですが、やはり一気に主役級になった永野芽郁の熱演が嬉しいです。
永野芽郁のもミステリー、サスペンス系映画の出演は意外にも今回が初めてですが、なかなかはまっています。
原作を読まれている方でも楽しめるプラスαもあり、映画化・映像化に耐えうる脚色もあります。