ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE- (2020):映画短評
ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE- (2020)ライター3人の平均評価: 3.7
まるでTVシリーズ後のような「劇場版」感
入口こそ、アル・パチーノも演じた“ドクター・デス”ことジャック・ケヴォーキアンをモデルにした社会派サスペンスだが、気づけば刑事バディものになってる、まさに良くも悪くも、日テレ&ワーナー映画のお手本ともいえる一作。まるでTVシリーズを1クール放送した後のような綾野剛と北川景子登場シーンでの“おなじみ感”に驚かされるばかりだが、その後も「なにもそこまで……」と思わせる2人のトゥーマッチな芝居やあざとい演出など、「劇場版」感がハンパない! ドクター・デスを演じている未発表のキャストも、そこまでのサプライズはないものの、そこそこ面白いことになっているため、とにかく観やすい。
継続希望
まず、綾野剛と北川景子二人が並んで立つ姿ががとても華があって、それで☆一つ増えます。
原作をうまくアレンジして、2時間駆け抜けるサスペンスに仕上がっています。
特に主人公の家族のエピソードをクライマックスに持ってきたのはなかなか妙手ですね。
キャスティングも含めて箝口令が敷かれているので具体的なことは言えないのですが、ドクターデスの存在感も抜群でした。
原作はシリーズ化されているので、映画なり、テレビドラマなりで、まだまだこの二人は見ていたいです。
社会派映画の皮を被った!?本格派のミステリー
安楽死の問題を問う、そんな社会性をはらんでいるのは間違いない。実際、尊厳死はあってしかるべきかもしれない……と、見ていて何度となく考えた。
とはいえ、何より本作はエンタテインメント。ドクター・デスがなぜ安楽死を行なっているか? その謎がミステリーとして機能し、それが明かされたとき、サイコスリラーへと転調。そんな意外性に富んだサスペンスが面白い。
ネタバレは避けるが、犯人の正体がわかると同時にやってくる、背筋がゾワゾワとするようなショック感覚はミステリー作品ならでは。前半を牽引する刑事役の北川景子の熱演もさることながら、ドクター・デスにふんする役者の怪演は、とにかく一見の価値がある。