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アウェイデイズ (2009):映画短評

アウェイデイズ (2009)

2020年10月16日公開 105分

アウェイデイズ
(C) Copyright RED UNION FILMS 2008

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

森 直人

ロールモデルは『さらば青春の光』

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

1979年11月。亡き母のお墓参りをした後、ダッフルコートからアノラックパーカーに着替え、スタンスミスを履いて走り出す19歳のカーティ。そこにウルトラヴォックスの「ヤング・サヴェージ」が流れる……このOPが秀逸。『THIS IS ENGLAND』は80sのスキンヘッズを描いた傑作だが、これもサッチャー政権下における労働者階級の「族」を背景にした青春物語。

『さらば青春の光』(79年公開)のジミーにはエースという「ヒーロー」が居たが、こちらはエルヴィスという新しく出来た親友との絆や葛藤が主軸。「エコー&ザ・バニーメン役」を、解散直前のM・ケイン率いるザ・ラスカルズがやってるライヴシーンも貴重!

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ドラマ以上に注目したいファッションとサントラ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

11年前の作品が、いま公開されることに、妙に納得がいく一本である。時代的に『フーリガン』『フットボール・ファクトリー』という快作の後発だけに、“仲間と、喧嘩と、遠征の日常(アウェイデイズ)”の描写に関しては、二番煎じは否めない。そんななか、フレッドペリーに代表されるサッチャー政権期の労働者階級ファッションスタイル“カジュアルズ”見本市としての興味深さ。そして、ジョイ・ディヴィジョン以上にウルトラヴォックスの楽曲が流れるサントラの意外性などが、一部で本作がカルト化されている所以だろう。明らかに『さらば青春の光』を意識したであろう後半の叙情的な展開は、好みが分かれるかも。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

1979年、同性への思慕に心がヒリヒリと……

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

2009年製作で、背景は1979年。それを2020年に観るという不思議な感覚。イギリスの小都市でサッカースタジアムで暴れ回り、遠征先(アウェイ)ではライバル集団と激しい果たし合いを繰り返しつつ、なぜか逮捕されないという血気盛んな若者たちのユートピア的な日常を、パンクロック後の過激すぎないニューウェイヴの音楽がいろどり、劇的ながら思いのほかすんなり世界に入り込める。英国青春ムービーのひとつでも耽溺した人なら、体にビリビリ電流が走る瞬間があるはず。

中産階級の主人公の、労働者階級の仲間への憧れは深みにはまる一方だが、そこは70年代を意識の、もどかしくも制御された演出。その分、ラストの余韻は長い。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ジョイ・ディヴィジョンなど当時の曲が溢れる英国青春映画

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 1979年の英国北西部の町、労働者階級のアート志向の19歳男子が、中産階級の同世代男子に心惹かれるが、それを口に出すことができず、2人の気持ちがすれ違う。そんなもどかしい日々の背景に流れるのが、時代背景に合致したジョイ・ディヴィジョンの数曲、ウルトラヴォックスの2ndシングルや「System of Romance」の曲、エコー&ザ・バニーメンは1stから、キャバレー・ヴォルテール、マガジン等で全曲歌詞は字幕付き。これらの曲に聴き入ったことがあるなら、主人公たちの鬱屈がより切実に感じられるに違いない。英国のフットボール・サポーター発祥の文化"カジュアルズ"も描かれる、英国ならではの青春映画だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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