ボルケーノ・パーク (2019):映画短評
ボルケーノ・パーク (2019)ライター3人の平均評価: 2.7
見せ場に次ぐ見せ場の中国産噴火パニック映画
『トゥームレイダー』のサイモン・ウェスト監督が中国資本で撮った火山版『ジュラシック・ワールド』。とある大富豪が東南アジアの火山島に巨大テーマパークを開いたところ、次の噴火は150年後と計算されていた火山が盛大に火を噴いてしまう。専門家の警鐘にオーナーが耳を貸さなかったせいで手遅れになる…という筋書きは『ジョーズ』のバリエーション。ストーリー自体はいろいろと既視感ありまくりなのだが、火山弾が降り注ぎ火砕流が迫り来る中での決死の脱出劇と阿鼻叫喚のパニックは迫力満点で、およそ90分のコンパクトな上映時間にこれでもかと見せ場を盛り込んでいるサービス精神は大いに買いたい。
火の玉連打にスペクタクルの醍醐味を見た!
題名が示すとおり『ジュラシック・パーク』の火山版で、大自然のタブーに触れたテーマパークのパニックを描く。既視感は否めないが、それでもエンタメに徹する意気は買い、だ。
家族愛を肝にしたドラマはエモいし、危機また危機のクリフハングは巧い。ジェットコースタームービーの基本を押さえているのが最大の魅力。
近年、東洋と西洋の映画界タッグの促進は目覚ましいが、S・ウエスト監督の登板は吉と出た。『トゥームレイダー』ばりのヒロインアクションの醍醐味はもちろん、シネスコ画面をフルに使って自然の脅威をとらえた空撮は、正しくスペクタクル。ここまでやってくれたら、物語のツッコミどころさえ愛おしい!?
サイモン・ウェスト監督が、中国でいい仕事してます。
レニー・ハーリンに続き、サイモン・ウェスト監督も中国映画界に進出。紛れもない“火山版『ジュラシック・パーク』”だが、事の発端となる悪役に『ハリポタ』ドラコの父ちゃんでおなじみ、ジェイソン・アイザックスを配し、パイナー・トプラクによる大作感溢れる劇伴など、チープさは皆無。火砕流や火山弾のパニック描写に、子役を使った泣かせドラマといった定番描写のほか、並走ロープウェイへの決死ジャンプや御年74歳ワン・シュエチーのバイク爆走など、ネジが外れたアクションもしっかり用意。ヒロインの旦那であるジェイ・チョウのMVとメイキングが交互で流れるエンドロールまで、94分間を逃げ切った感アリ!
火山をナメたらいかんぜよ!
テーマパーク化された火山島で噴火発生という展開で、『ジュラシック・ワールド2』中国版といった展開。『GODZILLAゴジラ』や『スピード』といったヒット映画を彷彿させる場面などもあり、ツギハギ観満載だ。火山学者である父娘が確執を超えて鎮火に尽力で観客に胸アツを求めているのだが、ワン・シュエチー演じる父親の不死身ぶりの方が胸アツ! 74歳でアクション演技って、すごい(多分、大半はスタントだけど)。火山鎮火の荒技に天気すらも操作する大国のパワーを感じる。S・ウエスト監督は『トゥームレイダー』的な新作も撮影済みというから、欧米人監督の中国進出の礎作品としては一見の価値はあるかも。