トムボーイ (2011):映画短評
トムボーイ (2011)ライター2人の平均評価: 3.5
ありのままの自分を摸索する少女を温かく見つめた佳作
『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督が10年前に発表した長編2作目。新しい町に引っ越してきたボーイッシュな10歳の少女が、ひょんなことから男の子のふりをして夏休みを過ごすことになる。思春期に差し掛かって異性を意識し始めた少年少女の、子供たちだけの世界を瑞々しく描き出したシアマ監督の演出が素敵。主人公がトランスジェンダーなのかシスジェンダーなのかはあえて掘り下げず、ありのままの自分を摸索する少女の揺れ動く心を優しく見つめる視線がとても良い。おしゃまな妹ジャンヌ役のマロン・レヴァナがまた天使!
10歳の子供の素直な心と、夏休みの明るい光と
『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督の約10年前の長編第2作。夏休み、知らない場所に引っ越してきた10歳の女の子が、男の子と間違えられたことを契機に、仲間の間では男の子として過ごすようになる。ショートカットの彼女は、上半身裸になってサッカーをしても、見た目は男の子と変わらない。仲良しの父親と話す内容も行動も、父と息子のよう。本人もまだ、自分の性的指向について無自覚な状態に見える。そんな彼女を取り巻く周囲が暖かい。その状況を知った母親も、彼女が周囲に嘘をついたことは叱責し謝罪させるが、彼女の性別についての意識自体は批判しない。そうした出来事に、夏休みの明るい光と鮮やかな緑が溢れている。