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屋根裏のラジャー (2023):映画短評

屋根裏のラジャー (2023)

2023年12月15日公開 109分

屋根裏のラジャー
(C) 2023 Ponoc

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

大山くまお

イマジネーションの奔流がもっと見たかった

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

作画はとにかく丁寧に作られている。その一方で脚本に難があったのではと感じる。原作未読の身としては、ファンタジーとはいえ世界のルール(たとえばイマジナリがどうなったら消えるのかなど)が明確に提示されないために引っかかってしまうところが多く、物語に入り込めなかった。観客の子どもたちにもわかりにくかったんじゃないだろうか。意味ありげに挿入される哲学的なセリフよりも、イマジネーションの奔流が主人公アマンダをとりまく現実の重さをぶっ飛ばすような展開をもっと見たかった。テーマパーク風に描かれた(表記だけは日本語)西欧風の舞台も座りが悪い。黒髪のゴシック少女のキャラが良かった。あの子の活躍をもっと見たい。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

DNA+α

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

スタジオポノック長編作品としては何と6年も空きました。ポノックには当然スタジオジブリのDNAが受け継がれていて”らしさ”を感じさせる部分も多々あります。今回はそこに”+α”とも言うべき”ポノックらしさ”を込めるように心がけているところが伝わってきます。”イマジナリ”のキャラクター設定の切なさ、危うさなどは新味を感じさせました。またイッセー尾形演じるミスター・バンディングの圧倒的な邪悪さなどキャラクターにメリハリが効いていました。エンディングに向かっていく展開・伏線も巧く効いていると思います。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

イマジナリ=想像の友人という題材で映画もイマジネーション全開

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ヴィジュアルには徹底的に想像力(イマジネーション)および創造力(クリエイティビティ)が駆使され、作り手が伝えようとするテーマも素直に受け取れる。終盤に持ってくるエモーショナルなエピソードが効果的。それら全体のバランスで、エンタメとしてのアニメーションの見本のような出来栄え。
子供時代に“想像上の友人”に語りかけたことのある人は、瞬間的に心が締めつけられつつ、出てくるキャラが個性強めなので湿っぽくならないのも好印象。ジブリから引き継がれたスピリット、テクニックで安心感に浸りながら、一方で冒頭のイマジナリ誕生のシークエンスなどかなりチャレンジングな試みで、込められたメッセージの深さに思いを馳せる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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