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恋人はアンバー (2020):映画短評

恋人はアンバー (2020)

2022年11月3日公開 92分

恋人はアンバー
(C) Atomic 80 Productions Limited / Wrong Men North 2020, All rights reserved.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.7

猿渡 由紀

時代設定がなおさらジレンマを強くする

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

アイルランドで同性愛が犯罪扱いされなくなったのは1993年。今作の舞台は1995年のアイルランドの田舎で、偏見、差別は根強い。だからこそ主人公エディは、今日のLGBTQ青春ものではあまり見ないほど断固として自分がゲイであることを否定し続けようとする。そこから生まれる強烈なジレンマを、主演のフィオン・オシェイが見事な演技で表現。彼の恋人のふりをするアンバーが少しずつ自分にオープンになっていくのに彼は同じところでとどまったままで、ふたりの関係に影響が出てくるところもリアルかつ切ない。閉塞的な街から出て行きたいという気持ちは、LGBTQ以外の人にも共感できるのでは。最後に胸が熱くなる、素敵な感動作。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

ラストへのエモーショナルな高まり!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

王道の形を更新するような青春映画の傑作。片やクラッシュやビキニ・キルを愛する聡明なライオットガール。片や陸軍への入隊を目指し、似合わぬマッチョ武装を試みるコンサバボーイ。1995年のアイルランド、同性愛への差別が根強い田舎町で、二人の高校生は自分達のセクシュアリティを隠すため恋人同士を偽装する。

本作の決定的な卓越は、保守的な価値観や環境の素直な影響下にあるエディの葛藤を扱ったことではないか。“FAGGOT”と蔑まれることを恐れる彼の生き難さは、クローゼットのまま延長されやすい気がする。監督のD・フレインはイデオロギー等の同質化を超えた絆を熱く描き出し、前作『CURED』から一気に飛躍した。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

青春の旅立ちへの愛おしすぎるストーリー

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

レズビアンとゲイの高校生が偽装カップルとなる設定は、2人の心の結びつきがどう変化していくか。そこを誠実に見つめ、共感の度合いをぐいぐい深めていく。
自身のセクシュアリティとの向き合い方、周囲との関係にフォーカスしつつ、主人公2人が時として他人の心を傷つける言葉も口にしたりするし、愛し合って結ばれた大人たちの現実や、強さを誇示する人物の脆さなど、適正に盛り込んだ脚本が秀逸。妙にキュートな演出があったりも。タイトルが示すように、男性側エディの視点がやや多め。
舞台は1995年。エンディングを観届けた後、20年以上経た現在、2人がどんな大人になったか、その先の未来に果てしなくイマジネーション広がる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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