ゆとりですがなにか インターナショナル (2023):映画短評
ゆとりですがなにか インターナショナル (2023)ライター3人の平均評価: 4
主演3人の、役との最高な一体感を改めて…
岡田、松坂、柳楽のメインキャスト3人が、ハマリ役に戻って生き生きと楽しそうに演じているのを観て、それだけで嬉しくなる一作。セリフのやりとり、タイミングや息のぴったり加減は快調そのもの。笑いのツボもお約束的で安心感。
コロナや多様性など社会、とくに仕事環境の劇的変化。そのエピソード、ネタもうまく盛り込まれ、何だか時の流れにしみじみ浸るも、「ゆとり」が成長したことで味わうホロ苦さが、もうちょっと用意されていたら、映画化の喜びに溢れていたかも。
初期の作品は別にして宮藤官九郎の脚本は、1本の映画よりも連続ドラマで魅力が生きると改めて実感。今回はもしや…と思ったが、そこは変わらなかった。
この7年の変化も汲み取ったクドカン節
冒頭から感覚ピエロ「拝啓、いつかの君へ」が流れ、この副題にして「劇場版」にありがちな海外ロケはなし。韓国企業の買収(木南晴夏が怪演!)やら中国のネット民やらの国際ネタを織り交ぜつつ、ドラマ版の後日談を描く通常運転っぷりに、とにかく好感が持てる。いい意味で、何も変わっていない3人の主人公はさておき、ドラマ版でブレイクした太賀演じる“ゆとりモンスター”の行く末など、この7年間の時代の変化もしっかり汲み取ったうえ、構成に影響も与えた『ハングオーバー!』ねたなど、クドカン節も冴えまくり。今や有難みすら感じる岡田将生と安藤サクラの絡みに加え、吉原光夫の参戦も見どころだ。
ゆとりではないですが刺さりました
ドラマが2016年の放映と改めて知って、ずいぶん時が経ったものだと思いました。若者だった”ゆとり”達も気が付けば中堅、上にも下にも気を配り、のしかかる責任も随分と重くなりましたね。”Z世代”や”コンプライアンス”、”働き方改革”、”多様性”などなどドラマの放映当時と比べても意識しなくてはいけないものがずいぶんと増えたものだと改めて感じさせられました。それでも何とかやりくりして生きていかなくてはいけないのもまた事実。ちょっとビターですが、”今”をうまく切り取った社会派コメディ映画として楽しみました。とにかくメイン3人が巧いのでそれだけでもお得感があります。