沈黙の艦隊 (2023):映画短評
沈黙の艦隊 (2023)ライター2人の平均評価: 3.5
核兵器の存在を意識せざるをえない現代への問い
原作の読者なら、壮大な物語を2時間弱の尺で、どこまで映画化できるか気になるところ。結論から言えば、原作の3、4巻を組み合わせて物語を締める格好となった。
核兵器を搭載している(かもしれない)原子力潜水艦を日本の反乱軍人が占拠。その目的が核による平和維持なのだから、ロシアの核攻撃に世界が怯える現代にはタイムリー。核は必要なのか? 問題提起という点では、本作の持つ意味は大きい。
3時間の大作として作り、もう少し先の物語に踏み込んで欲しかった気もするが、そこは続編に期待しよう。同じく軍事サスペンス『ミッドナイト・イーグル』以来の共演となる大沢たかおと玉木宏の顔合せに、個人的には胸アツ。
大作企画がまた一本
プロデューサーも兼任した大沢たかお入魂の一作。”潜水艦映画にハズレ無し”という説がありますが、本作もそんな一本と言って良いでしょう。吉野耕平監督と言うことで意外な感じもしましたが、アイテムやキャストに負けない画作りができていると思います。意外と共演が多い大沢たかおと玉木宏ですが、鮮度をまだまだ感じさせてくれます。原子力潜水艦の運行や、アメリカ政府、アメリカ海軍も重要な役割を担っていることもあって英語セリフが多いのも特徴と言えるでしょう。Amazonスタジオががっつり絡んでいるということで邦画製作の可能性も感じます。