ある閉ざされた雪の山荘で (2024):映画短評
ある閉ざされた雪の山荘で (2024)ライター2人の平均評価: 3
重構造の味がある舞台劇風ミステリー
劇中劇ならぬ芝居中芝居というべきか、そんな設定の面白さに、まず引き込まれる。
オーディションのはずが殺人事件疑惑へと発展し、ミステリーを深める面白いつくり。そこに劇団員間の愛憎や嫉妬、葛藤が複雑に絡み、人間ドラマを深めていく。
怨恨が弱くミステリーとしてはライトな感があるものの、重構造をスピード感とともに見せきる勢いの良さは魅力。若手俳優たちのアンサンブルも舞台劇のようにテンポがよく、エネルギーを感じさせる。『笑いのカイブツ』の熱演も記憶に新しい岡山天音が、ここではジョーカー的なキャラで妙味を発揮。
伏線探しを楽しもう
東野圭吾原作の映画化ですし、宣伝からもゴリゴリのミステリーであることをうたっているので、伏線まみれの映画であることを前提にして見られる映画なのでしょう。山荘に集まった8人の登場人物が”平等に誰もが怪しく見える”という状況を作らなくてはいけないので、結果として売れっ子俳優を8人確保してきました。演技をしている演技をしなくてはいけないのでなかなかに大変そうですね。いたるところにある伏線を探して回るのも良いですが、109分とタイトなつくりになっているので、作品の勢いに身を任せて見るのも正しい楽しみ方なのかとも思います。