聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~ (2024):映画短評
聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~ (2024)ライター4人の平均評価: 3.3
「女子ーズ」参戦で実現した「福田雄一ユニバース」
実写ドラマシリーズ「第Ⅰ話」のセルフリメイクから始まる、いちげんさんにも優しい「劇場版」。終盤にはムダに長い佐藤二朗との絡みもあるが、まさかの「女子ーズ」参戦により、個人的に切望していた「福田雄一ユニバース」が実現。さらに原作者によるオリジナルストーリーが元になっていることもあり、決して“ハズレの方の”福田作品ではない。ほぼホスト的な役回りになっているイエスとブッダを笑わそうと挑んでくる豪華キャストでいちばんの見どころは、狂気すら感じる賀来賢人の暴走っぷり。「ストⅡ」キャラに寄せ過ぎて日本公開できない伝説の香港映画『超級学校覇王』と、いろんな意味で似ている珍作だ。
年末・年始に合う、イイ感じの弛緩
一話完結の原作を長編映画にするのは難しいが、実写ドラマシリーズ化のステップを経たことでその難題をクリア。神々の弛緩した地上生活は、さらに弛緩した!?
イエスとブッダがなぜか“戦隊モノ”の世界に巻き込まれる突拍子のなさ。福田雄一監督ならではのナンセンスなギャグの連打は、『女子―ズ』との融合により拍車がかかる。
ドラマ版に続いて主演を務める松山ケンイチ&染谷将太の、全力と脱力が交錯する妙演は健在。福田組縁の人気俳優がこれでもかと出演し、「新春かくし芸大会」のようなバカ騒ぎムードも満点だ。あとは観る側がノレるか、どうか。いずれにしても、オメデタイ映画!?
映画版はさらに福田雄一の世界が暴走
原作コミックを愛読、実写ドラマ版も楽しく見ているので、映画はドラマの長尺版になるのかと思ったら、楽しい想定外。映画の冒頭はドラマのバージョンアップ版で、ノリもドラマのままなので油断していると、気づけば福田雄一監督の世界に飲み込まれてしまっている。それも楽しいので何の問題もない。原作にあるモチーフを思いっきり監督の流儀でアレンジするという意味で、実は見事な映画化なのかもしれない。
それにつけても、人気俳優勢揃いのサブキャラのキャスティングが見事。特に賀来賢人の梵天と、窪田正孝のマーラは、原作のイメージのままさらに激しく暴走して秀逸。プロデュースの山田孝之の出演場面もいい味。
わちゃわちゃとしてます
もともと原作が出オチというか、一枚の絵や一言のせりふで笑わせる物なので、それを長編映画化するとなるとなると、そういう細かいオチの羅列という感じになります。93分というコンパクトな上映時間ということも、その原作の在り方から来ていると思います。監督はまぁこの人だろうという福田雄一。お馴染みの福田常連組俳優が、順番に登場しては出オチギャグを披露します。まさか女子ーズまで出してくるとは思いませんでした。長編映画としてはちょっと”?”が頭に浮かぶところもありますが、気楽に見る分にはよいかと思います。堕天使ルシファー役の藤原竜也はよくやってくれました。