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愛を耕すひと (2023):映画短評

愛を耕すひと (2023)

2025年2月14日公開 127分

愛を耕すひと
(C) 2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

猿渡 由紀

「良い映画を見た」と思わせるドラマチックな感動作

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

見応えたっぷり。「良い映画を見た」という満足感をくれる。いわばデンマーク版西部劇で、開拓時代の荒々しさ、残酷さ、非情さ、そして可能性と野心に満ちた物語。多くのことが次々起きる中で生まれていくキャラクターの変化は、静かかつゆっくりで説得力があり、感情面で入り込ませる。最後は思わず涙。せりふがないシーンでも微妙な感情表現をしてみせるマッツ・ミケルセンの演技力はさすが。やはり彼は現代に生きる最高の役者のひとりだと再確認。原作者が女性というおかげもあるのか、男社会の時代の話ながら、女性のキャラクターもしっかり書かれている。ミケルセンとアーセルの次のコラボが今から待たれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

“映画に愛された”者=マッツのウエスタン風北欧歴史劇

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

絶対王政にして農業改革の時代、18世紀デンマーク。マッツ・ミケルセン扮する貧しい退役軍人が貴族の称号を得ようと、ユトランド半島の荒れ地(ヒース)の開墾を申し出る。時代背景は前にニコライ・アーセル監督と組んだ『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』と共通するが、今回は「開拓者」ものという西部劇の援用であり、脚本は『悪党に粛清を』と同じアナス・トマス・イェンセンだ。

まもなく還暦のマッツが醸す抜群の哀愁は、やはり多くの演者がベンチマークとする『許されざる者』のイーストウッドと比較できるか。ジャンル系に程良く足を踏み入れた演出/作劇のバランスも上々。タタール人の少女の成長と旅立ちも味わい深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

マッツ・ミケルセンの真価が発揮された孤高で激する主人公

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

孤高で高貴なムードを漂わせつつ、瞬発的に野獣のような本能も発揮する。そんな主人公に、北欧の至宝俳優のキャリアが粛々と活かされた印象。やはりこの人、深部に漂う狂気を演らせたら世界最強か。セリフが母国のデンマーク語となれば、さらに本領発揮だと本作で実感。その意味でスター映画。
土地を開墾するため“擬似家族”の絆がポイントなのでエモーションな人間ドラマを予感させながら、描写はかなりハードで、18世紀の人間たちの凶暴な行為もストレートに映像化されて驚いた。夕方から夜のシーンでは、シルエットの美しさ、レンブラントの絵画のような陰影で陶酔させ、終盤の展開には哀感とともにアドレナリンが上がる。邦題も上出来。

この短評にはネタバレを含んでいます
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