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ゴジラ-1.0 (2023):映画短評

ゴジラ-1.0 (2023)

2023年11月3日公開 125分

ゴジラ-1.0
(C) 2023 TOHO CO.,LTD.

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.4

ミルクマン斉藤

ゴジラ史上、一、二を争う傑作。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

最初の『ゴジラ』は戦後復興が途上に乗ったリアルタイムを舞台とし、爆と放射能への危機感と、再び東京が焦土となる恐怖、それから戦争で命を落とした人間たちの怨念の塊…いわば祟り神としての「ゴジラ」という存在を想わせる含みの多い作品だったが、今回はその原点に戻り、非常にドラマ性が強い作品になっている。ことに神木隆之介は戦争のトラウマから女性を愛し抜く自信もないが、生き残った帰還兵も然り。彼らが新しい脅威に立ち向かうさまは『永遠の0』『アルキメデスの大戦』に続く、山崎貴流「東宝8.15シリーズ」の一篇的色彩が濃い。佐藤直紀がここぞ、というシーンで、直接の先生・伊福部昭の音楽を響かせてくれるのも快感。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

山崎貴監督ならではの“ゴジ泣き”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「『ALWAYS 三丁目の夕日』寄りな人間ドラマになるか?」と思われたが、それよりも『永遠の0』の空戦・特攻隊要素と『アルキメデスの大戦』の海戦・頭脳戦要素を交えて、“ゴジ泣き”させるという、紛れもなく山崎貴監督しか撮れない反戦色強めの『ゴジラ』。しっかり日劇もブッ壊す破壊のカタルシスはさすがなうえ、はみだし者たちの反撃に『ジョーズ』オマージュなど、お仕事映画と化した『シン・ゴジラ』とは明らかに異なるアプローチなど、正直ここまでやってくれるとは思わなかったのが正直な感想。神木隆之介&浜辺美波が織りなすロマンスなど、やや臭めなドラマも「朝ドラ」の延長戦として見れば、あまり気にならない。

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大山くまお

山崎貴VFX映画の集大成「永遠の-1.0」

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

『永遠の0』の空戦描写、『アルキメデスの海戦』の艦船描写から連なる山崎貴監督のVFX集大成映画。とにかくゴジラと艦船のVFXが素晴らしい。銀座破壊シーンも圧巻。特攻隊員の生きざまがメインテーマに据えられ、戦いの中で「貧乏くじ」を引かされる軍人たちをヒロイックに描く(なぜそこまで追い込まれたかという政治的状況は描かれない)あたり、『永遠の0』の色が濃い。一方、シーンの連続性に乏しいため、ゴジラ出現の緊迫感がない。そもそも登場人物があまりゴジラに関心を持っていない感じがした。核や放射能への畏怖も限りなく薄い。男性が男性性を取り戻す一方、女性が男性を慰撫する役割しかないのも疑問だった。

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なかざわひでゆき

恐らく日本の特撮映画史上で屈指の傑作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ‘54年版のゴジラが水爆実験の生み出した怪物ならば、本作のゴジラは先の無謀な戦争でこの世の地獄を経験し、多大な犠牲を払った日本人のトラウマを具現化したような存在。そんな恐怖と絶望の象徴たるモンスターの出現に、戦後復興を遂げつつある平和な日本で、いまだ戦争の悪夢に囚われた元日本兵たちが立ち向かう。まるで記録映像を見ているようなVFXの圧倒的クオリティも然ることながら、このエモーショナルな人間ドラマに胸が熱くなる。国民の目を真実から逸らし、人命を粗末に扱った戦前・戦中の日本政府に対する主人公たちの恨みと憤りは、不気味に戦前回帰が進んでいく現代日本への警鐘でもある。期待を遥かに上回る傑作だ。

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平沢 薫

ゴジラという存在の巨大さを痛感

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

『シン・ゴジラ』の後に登場する以上、どんなゴジラ映画を描くのかというコンセプトに興味を抱かずにはいられない。そこに、第二次世界大戦直後という大胆な時代設定を投入し、さまざまな試みを盛り込んでいく。ゴジラ映画を巨大怪獣映画という原点に戻すという試み。1954年製作のシリーズ第1作『ゴジラ』のリブート作として描くという試み。一人の人間の物語として描くという試み。

 画面を先入観なく見ているつもりなのに、ふと違和感を感じてしまうことがあり、そのたびに、自分が無意識のうちにゴジラとはこういうものであるという個人的ゴジラ観を持っていたことに気づかされ、ゴジラという存在の巨大さを改めて痛感させられる。

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斉藤 博昭

怪獣映画のダイナミズム&恐怖に、監督の嗜好とテーマも万全

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

観る者に有無を言わさぬ恐怖を与えるのがモンスター映画の必須条件であるなら、ツカミの演出は完璧。全編の中で実際にゴジラ登場のシーンは、そこまで多くないにもかかわらず、ポイントを押さえた豪快な出番を用意したのも成功の要因か。その大きさを体感させるうえで人間視点から見上げるショットなど、瞬間、瞬間の構図も計算され尽くしている。
人間側の共闘は『シン・ゴジラ』と別ベクトルのカタルシス。そしてVFXは現時点で日本映画の最高峰を達成。

山崎監督のメカ愛に満ちた描写がストーリーに溶け込む様子が微笑ましい一方、反戦メッセージや、権力者=政治への批判もきっちり収めたことで、ジャンルを超えた重量感も加味された。

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村松 健太郎

圧倒的な”絶望の化身”現る

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

時代時代で破壊者から守護者やヒーローまで様々な顔を見せていたゴジラ。今回のゴジラは圧倒的な絶望の化身、畏怖べき存在として登場しました。戦後すぐという時代設定もあって、ゴジラ映画史上最も人類が非力な存在として描かれていることもあり、劇中に漂う絶望感は最大限に。その意味でも”絶望感というものの映画化”という本作の最大の目的は果たされたと言えるでしょう。神木隆之介&浜辺美波の朝ドラコンビは変わらぬ相性の良さを見せてくれます。とにかく可能な限り大きく、音響の良い映画館で最高の劇場体験を。

この短評にはネタバレを含んでいます
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