ビーキーパー (2024):映画短評
ビーキーパー (2024)ライター6人の平均評価: 3.5
ジェイソン・ステイサムの豊楽ヴィジランテムービー
悪い事をすると養蜂家が来るよ!とばかりに、平和のバランスを乱す奴らをムゴい殺し方で駆除する元工作員が暴走気味に大活躍。アニメキャラのように姿形がブレないステイサムが最高だ。彼の標的は闇バイトを多く囲うサイバー犯罪集団。冒頭からフィッシング詐欺に遭う被害者が気の毒すぎるので、問答無用の制裁が妥当のカタルシスを生む。
暴力による浄化は現実だとキナ臭いぶん、まさにフィクションの役割だ。このステイサムは戒めのシンボルで、秋田の「なまはげ」みたいなもの。『エクスペンタブルズ ニューブラッド』ではラジー賞を賑わせたカート・ウィマーの脚本も面目躍如。デヴィッド・エアー監督の鬼畜演出も快調に機能している。
絶対に負けない最強の仕事人ステイサムがカッコ良し!
ごく一部の米政府要人しか存在を知らない「養蜂家」なる極秘プロジェクトの暗殺組織が存在する…という設定のもと、引退した「養蜂家」エージェントが庶民を騙して金を巻き上げるフィッシング詐欺グループを追跡したところ、国家レベルの重大な犯罪へと辿り着く。さながらジェイソン・ステイサム版『ジョン・ウィック』といった感じだが、『ジェイソン・ボーン』シリーズ的な要素も兼ね備えている。中途半端に荒唐無稽が過ぎて真実味に欠けるストーリーが玉に瑕ではあるものの、しかし向かうところ敵なしのステイサムの圧倒的な強さに血沸き肉躍ること間違いなし!気軽に楽しめるB級エンターテインメントだ。
安定のステイサム、題材もタイムリー
地味に静かに田舎町で養蜂家(=ビーキーパー)を営む男。そのイメージと無敵能力のギャップも、J・ステイサムが十八番とばかりに豪快に、クールに表現して惚れぼれ。50代後半にして肉体の衰えを一切感じさせず、D・エアー監督もステイサムの動きに虜になって撮ってるようで微笑ましい限り。
一方で大量の相手に対する知的計画性、瞬発力も本作は押し出してくる。組織のレトロな機材、養蜂家のフェンシングのような衣装など細部へのこだわりも小粋で、シリーズ化してもいいのでは?
オレオレ詐欺の世界的流行には、本作で改めて怒りを覚える人も多いはず。渋谷スクランブル交差点も一瞬映るオープニングクレジットはカッコ良し!
ナメてた養蜂家が最強……だけじゃない!
常に及第点をクリアしてくるデヴィッド・エアー監督とジェイソン・ステイサムだが、その2人が組んだことで、さらにレベルアップ! 初期設定こそ、フィッシング詐欺集団の“ナメてた相手が最強でした映画”だが、カート・ウィマーによる雪だるま式にスケールがデカくなる脚本とミリオタでもあるエアー監督のケレン味ある演出が見事に合致! クライマックスも、このタイトルから誰もが連想する養蜂場ではないという嬉しい裏切りに加え、ジェレミー・アイアンズの重厚な芝居がしっかり締める。今や売れっ子のジェレミーマリーナ指導のアクションも見応えあり、年明け一発目に相応しい景気良さも込みで、★おまけ。
今回も期待通りのジェイソン・ステイサム
ジェイソン・ステイサムは、どの映画でもほとんど同じ人物を演じつつ、しっかりファンの見たいものを見せてくれる。今回も、無口で無愛想で無双。彼が作業服につば付きキャップでうつむきがちに歩くと、何かの作業員かと思われてどこにでも侵入できるという設定も、ステイサムのイメージにピッタリ。いつものように身体の動きのキレがよく、監督はテンポが鈍くなりがちなデヴィッド・エアーだが、今回は軽快。倒す相手が、弱者を電話で騙す詐欺組織なので、ステイサムが容赦無く徹底的に叩き潰すのが気持ちいい。
アクション大会の中、敵側の2人、ジェレミー・アイアンズとジェマ・レッドグレーヴ演じる大人の恋愛模様が、粋なアクセント。
王道の正義感でガンガン引っ張るポップコーン映画
静かに引退生活を送る無口な一匹狼が実はすごいスキルと経験を持っており、復讐のためにその力を発揮することになるという、お馴染みの設定。ジェイソン・ステイサムは、ぴったりの俳優。「ジョン・ウィック」を凌ぐほどの斬新さはないものの、お得意のアクションをノンストップで披露する。せりふも表情の幅も少ないこの役で、ステイサムの見せ場はまさにそこ。ストーリーは弱いものの、社会の弱者から金を盗むひどい男たちをやっつけるという正義に満ちた王道のミッションで強引に引っ張る。ジェレミー・アイアンズがなぜ出たのか不思議ながら、B級ポップコーン映画として気楽に見るべき映画。