ザ・バッド・ガイズ (2019):映画短評
ザ・バッド・ガイズ (2019)ライター6人の平均評価: 3.3
マ・ドンソクの新たなる最強伝説!
囚人を乗せた護送車が謎の武装グループに襲撃され、何人もの凶悪犯が逃亡するという事件が発生。警察はこの前代未聞の不祥事を解決するため、札付きの犯罪者たちを集めた特別捜査チームを送り込む。これぞまさしく毒を以て毒を制す!ワルはワルでも筋の通ったワルたちが、理不尽な凶行を重ねるサイコパスどもを追いつめ、さらには権力を濫用する巨悪へと挑んでいく。やはり最大の見どころは、もはや素手でターミネーターと戦えるんじゃないか?ってくらいの怪力ぶりを発揮するヤクザの親分マ・ドンソクであろう。四方八方から襲いかかって来るチンピラどもを、マブリーが束でなぎ倒していく姿は思わず笑ってしまうくらい痛快だ。
スカっとしたいときには、マブリーにお任せ!
ドラマ「バッド・ガイズー悪い奴ら」シリーズのスピンオフ。ドラマ版はクライム・サスペンス色が濃いが、映画版はエンタメ全開。となると同じように”毒を持って毒を制す”ワイスピ”など数多のハリウッド映画がちらつくが、ぶっちゃけ”マブリー”ことドンソクの大暴れが見られれば細かいことは無問題。もはやVシネ全盛時代の竹内力や哀川翔主演作を無条件に手にしているような感覚で、定期的にあのぶっとい腕から繰り出されるパンチを拝みたくなるのだからその中毒性たるや恐ろしい。そして本作を見れば分かるのだが、どうやら日本に興味あり? マブリーVS.力&翔、いやVS.顔面凶器・小沢仁志⁉︎ 続編に妄想膨らむ。
国家権力を叱る!?韓国のスーサイド・スクワッド
服役囚からなる凶悪犯罪捜査チームというアイデアは『スーサイド・スクワッド』そのままだが、こちらは少数精鋭、4人のチーム。少数だから、それぞれの個性も生きる。
中でも、やはりマ・ドンソクの暴れっぷりが光る。パンチ一発で敵をのし、腕力だけでバックブリーカーをキメるなど、その強さの漫画的な描写が痛快だ。“税金で食ってるなら、悪いことだけはするな、それが国民への礼儀だ!”というまっとうな主張も、この人が言うと説得力がある。
ギャグは韓国映画らしくところによってベタだが、テンポは良いし、ドラマに“情”が染み込んでいるのも妙味。続編ができそうな雰囲気もあり、そちらも楽しみになってくる。
毒を以て毒を制するはぐれ者集団は庶民の代表
ドンソク兄貴が暴れ、義理人情が炸裂し美人詐欺師とイケメンも大活躍と韓流アクションに期待する全てが詰まった痛快作。前半の護送車襲撃事件からクライマックスまで凝ったカメラワークを見せてくれるので、アクション好きにはたまらない。しかも大前提の特殊犯罪捜査課が物語を弾ませる。悪を葬るためならルールを無視してもOKとは庶民の怒りの代弁だ! 『シン・シティ』を思わせる特犯課紹介は監督の遊び心だろう。そんな彼らが逃亡犯を追い詰めながら巨悪に迫る展開も工夫があるし、警察内部の争いもお約束とはいえ効果を発揮する。痛いところに手が届くハン・ジョンフンの脚本がお見事! ドラマ『バッドガイズ』シリーズの集大成だね。
マブリー、ブレイク前の極悪キャラが復活!
マブリーがブレイク前に出演したドラマ「バッドガイズ-悪い奴ら-」の『THE MOVIE』。単独でも楽しめるストーリーになっているが、マブリー演じるウンチョルの登場シーンから、『シン・シティ』な回想シーンなど、“おなじみの”感が強く、コミカルなシーンも含め、新規はそこにノレるかが大きなカギとなる。「ヤマグチ組」に「豊臣秀吉」「日本統治下の人体実験」など、目を引くワードも多いが、それらを生かした『特攻大作戦』な展開を期待すると、どこか的外れ。おなじみの鉄拳制裁だけでなく、チェ・ミンシク以上のハンマーさばきも見せ、「玉ネギは抜きでお願いします」なる日本語も飛び出すマブリーに頼りすぎた感は強い。
コミック感覚のハデな設定、キャラ、演出が楽しい
脱走した凶悪犯を逮捕するため、その凶悪犯に負けない最悪な囚人4人が、刑期の短縮と引き換えに特別捜査員となり、悪人VS悪人の攻防戦を繰り広げられるという設定もコミックっぽく、4人のキャラ設定も、怪力の元ヤクザ、過剰暴力の元エリート刑事、天才的女詐欺師、死期の近いベテラン刑事と、こちらもコミック的な分かりやすい組合せ。
なので、映像もしっかりコミック的な派手さとメリハリの強さを最優先。室内シーンの赤、青、緑のライティングはまさにアメコミ風。そのうえアメコミ映画『シン・シティ』のオマージュのようなシーンも登場。マ・ドンソクが、まるで巨大怪獣のように出現するという演出も楽しい。