ワイルド・スピード SKY MISSION (2015):映画短評
ワイルド・スピード SKY MISSION (2015)ライター4人の平均評価: 4.5
ファンの期待を裏切らない、進化したシリーズ最新作
監督交代やらレギュラー出演者ポール・ウォーカーの急逝やらでシリーズの大ファンとしては完成度に不安もあったが、すべては杞憂だった。
新監督のジェームズ・ワンは「死霊館」等、スリラーで鳴らす監督だが、悪役の神出鬼没ぶりにそのテイストを匂わせつつ、シリーズの持ち味であるタイナミックなアクションは損なわれていないどころかパワーアップ。タイトルどおりのカスタムカーのダイブや高層ビルのフロアを車が飛び移る重力無視の高速アクションも炸裂して満腹だ。
故ウォーカーへの物語に盛り込まれ、ラストでは不覚にも涙腺が緩んでしまった。それでも湿っぽく終わらない芸の細やかさにも拍手を送りたい。
J・ワン監督の旺盛なサービス精神が効果テキメン!
作品を重ねるごとに大型化を続けるアクション・シリーズに、低予算ホラー出身のジェームズ・ワン監督は意外な人選とも思えたが、しかし結果としては大正解。観客の見たいものは惜しみなく見せる、ハッタリも荒唐無稽もやるなら徹底的に。そんな彼一流の旺盛なサービス精神が遺憾なく発揮されていると言えよう。
シリーズの目玉であるカーチェイスは勿論のこと、戦争アクションに諜報サスペンス、肉弾バトルと何でもアリの大盤振る舞い。やり過ぎなくらいが丁度いいのよ、と言わんばかりのド派手な見せ場の連続は、思わず笑いがこみ上げてくるほど痛快。大味な脚本もご愛嬌だ。あとはトニー・ジャーの出番がもうちょっと多ければね…。
車が空飛ぶって信じてしまいそうになる自分も怖い
ポール・ウォーカーの急死で脚本に変更が加えられるとの噂もあったけど、すべてを丸く納めたジェイムズ・ワン監督の手腕は素晴らしい。ドウェイン“ロック”ジョンソンの参入でパワーが増したシリーズにジェイソン・ステイサムという最終兵器を搭載したので、もう無敵でしょ? 主要メンバーが10回くらい死んでるはずのド派手な戦闘やアクションが次々と繰り広げられ、見るだけで心拍数UPし、アドレナリン大放出! 車が空飛ぶって信じてしまいそうになる自分も怖い。締めはガチンコ対決というのも70年代の不良漫画みたいで素敵すぎる。シリーズのフィナーレだけど、まだまだ続きそうな気配濃厚。世界中のヤンキーが待ってるぜ!
すべては“ポールのために”
5作目にして『ミッション:インポッシブル』化した本シリーズだが、最凶の敵となるジェイソン・ステイサムの参戦や司令官の降板劇など、今度は『エクスペンダブルズ』化。よって「車は飛べないの!」と子供に注意していた大人が、車で大空を飛びまくるなど、アクションのアホ度倍増。ついに『TOKYO DRIFT』の時系列に追い付き、めっきり老けたルーカス・ブラックや、『リーサル・ウェポン4』のジェット・リーばりの存在感を残すトニー・ジャーの姿も拝めるなど、お楽しみ感満載だが、劇中だけでなく現実でも起こった、突然の“家族”との別れを、彼らはどう乗り越えたのか。その行方を涙なくして観られないラストとともに見逃すな。