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お嬢さん (2016):映画短評

お嬢さん (2016)

2017年3月3日公開 145分

お嬢さん
(C) CJ E&M Corporation

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.2

山縣みどり

監督が目指したのは、ファニーなエロス?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

パク・チャヌク監督が性愛映画、しかもレズビアンもの!?と驚いたが、終盤にはお得意のバイオレンスやリベンジも用意されていて、一気呵成に見せる。占領下の朝鮮半島に生きる人々の日本文化や日本人への愛憎を下敷きにした男女の騙し合いなのにドロドロ怨念を感じさせないのは監督がユニバーサルな観客を意識したせいか? 春画などのエロティック・アートや日本が誇る(?)緊縛にインスパイアされたSEXシーンが登場するが、隠微というより笑いが先に立つ。これも狙い? 美女に卑語満載のエロ文学を朗読させて興奮するハ・ジョンウ扮する詐欺師を筆頭に男たちのマヌケっぷりも愉快、愉快。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

パク・チャヌクの変態趣味、大爆発!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

すでにBBC製作のドラマがあったことで、舞台をヴィクトリア朝のロンドンから『暗殺』と同じ、日本統治下の朝鮮を変えたパク・チャヌク監督の判断は正解!監督独特のフェティシズム、色彩美&変態趣味が見事にマッチしているだけでなく、原作で描かれる階級の差に加え、人種の差を乗り越えようとする女性同士のラブストーリーとしても仕上がっているからだ。さらに、妖しげな日本語を喋り、畳の下から日本庭園が現れる“奇妙な果実”っぷりは、最大の持ち味となっており、3部構成のストーリーが進むうちに気にならなくなる。おまけに、監督の十八番であるブラックな笑いも入った“復讐劇”でもあることから、145分の長尺も飽きさせない!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

そもそも日本人でこの主役を張れる女優はまずいません

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 せめて日本人役くらい日本人にやらせればいいのにとか、日本人に化けた詐欺師の日本語が下手っくそ過ぎてバレない方が不思議とか、いろいろ突っ込みどころはあるものの、ぶっちゃけそんなのどーでもよし!
 英国ミステリーの舞台を日本統治下の朝鮮に置き換え、愛欲渦巻く男女の陰謀と駆け引きを超過激エロスと退廃的映像美で描く。幼い少女に大声で卑猥な単語を何度も復唱させる悪趣味さ加減ときたら!凄いぞ、パク・チャヌク。
 当時の朝鮮人の日本に対する羨望と嫉妬と愛憎の入り混じった複雑な想いを背景に据えることで、対日感情において韓国が内包する矛盾を浮かび上がらせる辺りも巧妙。主演女優2人の大胆過ぎる濡れ場もアッパレ!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

お嬢さまと侍女と静かなエロティシズムと

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 淫靡。ストーリー、美術、映像の質感、と三つ揃って、しっとりした静かなエロティシズムが描き出されていく。
 原作はサラ・ウォルターズ、19世紀半ばの英国の物語だが、舞台を1939年の朝鮮半島、日本の富豪が建てた明治時代の建築物のような和洋折衷の館に移して、まったく別の物語世界に描き直す。その建築、服飾、装飾品、エロティシズムのすべてが、東洋的な繊細さに貫かれた緻密な美しさ。映像の質感のつややかさ、なまめかしさは、東洋の磁器や磨き込まれた木の廊下を思わせる。
 監督がその部分を読んでこの小説を映画化できると確信したという、侍女がお嬢さまの歯を削るシーンは、官能的な気配が別格。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

エロを越えて、欲望の深みに迫る

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 往年のにっかつロマンポルノにはエロを超えて人間の情念や性を浮き彫りにする秀作が存在する。本作を見ながら、そんなことをふと思い出した。

 赤裸々な同性愛描写も鮮烈だが、普通の性行為には飽き足らずSMや、女性によるエロ小説の朗読もインパクト十分。男性の欲望のいかがわしさや業の深さ、女性のしたたかさとたくましさが痛々しいほど伝わってくる。

 パク・チャヌク監督は以前からフェティシズムや妄執を題材にしてきたが、今回もユーモアや緊張感とともに、それを料理。美術や衣装への徹底したこだわりも健在で、低予算製作だったロマンポルノとは異なるゴージャスさが魅力でもある。

この短評にはネタバレを含んでいます
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