ナイスガイズ! (2016):映画短評
ナイスガイズ! (2016)ライター4人の平均評価: 3.5
脇役までしっかりキャラが立つオフビートの美学
S・ブラックらしいオフビート感が狂い咲く2時間弱。ポルノ業界のいかがわしさと、そこで発生した陰謀のミステリー、探偵コンビ奔走のスリル、70年代ノスタルジーが絡み、妙味を醸し出す。
とりわけユーモアは重要。クマのような体格でむやみに暴力を振るうクロウと、ヘタレなゴズリングの丁々発止は絶妙だ。脇キャラの個性も立ち、しつこい殺し屋たちや娘の友人も、いるだけでジワッとおかしい。
中でもゴズリングの13歳になる大人びた娘がダントツに面白いが、部屋に貼られたパンクのポスターを見るとDIYも納得。1977年にはリリースされていない、クラッシュ『ロンドン・コーリング』のポスターがあるのはご愛嬌。
バディムービーとしての醍醐味
『プレデター』の雑魚キャラ役者から、リブート版の監督まで上り詰めたシェーン・ブラック。アンガーリー・ライス演じる主人公の愛娘の活躍っぷりは、明らかに脚本作『ラスト・ボーイスカウト』流れだし、展開も演出も、笑えるぐらい初監督作『キスキス,バンバン』から何も変わっちゃいない。なので、今回の肝はポルノ・ヒゲでボケまくるライアン・ゴズリングと、ジョン・グッドマンにしか見えないラッセル・クロウの絶妙なコンビネーション。そして、ファッション、音楽、クルマなど、ザッツ70年代な空気感だろう。監督の好き好き度合いは十分伝わるが、116分はちょい長い。そんななか、異彩を放つ殺し屋役のマット・ボマーは買いだ。
オフビート全開の『リーサル・ウェポン』ミーツ『ブギーナイツ』
まさに『リーサル・ウェポン』ミーツ『ブギーナイツ』。ディスコ&ポルノ全盛の’77年ロサンゼルスを舞台に、リッグスとマータフも真っ青のハチャメチャ探偵コンビが国家権力の巨大な陰謀を暴いていく。
アクションもギャグもオフビート全開。その悪ノリぶりはシェーン・ブラック史上最高レベルかもしれない。全編に散りばめられた’70年代サブカルネタも楽しいし、当時のポルノ産業の興隆と自動車産業の衰退を密接に絡めた陰謀の全容も巧みだ。
ラッセル・クロウとライアン・ゴスリングの主演コンビも相性抜群。『エデンの東』のロイス・スミス、『キャプテン・ロジャース』が懐かしいギル・ジェラードの登場にも注目したい。
この監督はこういうクセものコメディが本筋では
監督&脚本のシェーン・ブラックは、こういうちょっとオフビートでクセのあるコメディで本領を発揮するのではないか。「リーサル・ウェポン」の脚本家だが、自分で脚本を書いた初監督作はオフビートな探偵もの「キスキス、バンバン」だし、「アイアンマン3」も監督したが脚本にも参加してやはり妙なジョークを仕込んでた。本作はバディものでもあり、子供も登場してオフビート感は弱めだが、基本フォーマットはハードボイルドだし「キスキス、バンバン」的。記録フィルムにつなげても継ぎ目がわからない、70年代ロサンゼルスの色調と質感の映像は、「リバー・ランズ・スルー・イット」の名手フィリップ・ルースロが撮影している。