ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス (2017):映画短評
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス (2017)ライター4人の平均評価: 4.3
笑いは健在、でも実は泣ける!
アメコミ映画というより勇気、友情、勝利。そんな某少年漫画誌的スピリットは今回も生きているが、そこにファミリーの要素を加えたのがミソ。
スターロードと実の親、育ての親、ガモーラと妹、ロケットとベイビー・グルートの疑似親子、そしてガーディアンズという疑似家族。それらの揺れ動く絆がドラマの熱さとして機能する点がいい。
基本は前作と同様のお笑いノリだが、締めるべきところは締められ、とりわけスターロードをめぐる父子愛エピソードのまとめ方は絶品。選曲のセンスの面白さは言うまでもないが、そういう意味では、エンドクレジットの最初に流れるチープ・トリック“サレンダー”に目が潤んだ。そう、泣ける!
痛快!爆笑!感動!さらにプラスあり
前作の魅力を継承して、もう一味プラス。前作が大ヒットした時、米エンタメ情報サイトがやった「続編に出ないキャラはこれ」というお遊び企画で筆頭にあがったのがマンティスで、理由は"肌が緑色でガモーラとかぶるから"というものだった。が、そのマンティスが続編で大活躍。ジェームズ・ガン監督には、そんなふうに観客の予想をいい意味で裏切っておもしろがるところがある気がする。「スーパー!」や「ムービー43」収録「猫のBeezel」の監督&脚本家だし。今回の選曲が前作とはちょっと違う路線なのも、その一つかも。今回は父と息子の話が中心なのは、同時進行の「スター・ウォーズ」を意識してる?なんて考えるのも楽しい。
父なる存在の定義を神の領域にまで拡げた痛快スペース・オペラ
‘80年代サブカルネタ・ギャグを盛り込んだクレイジーな悪ノリは相変わらず。さらには、スタローンにマイケル・ナイトことデヴィッド・ハッセルホフ、ミシェル・ヨーにジェフ・ゴールドブラムなどゲストやカメオの顔ぶれも豪華。文句なしに賑やかで楽しい作品に仕上がっている。もちろん、超絶キュートなベビー・グルートにも悩殺されること必至だ。
ストーリーの軸としては、生みの父と育ての父との板挟みとなったクイルの苦悩と葛藤にあるわけだが、父なる存在の定義を神の領域にまで拡大して是非を問う展開は壮大かつディープ。単に痛快でノリがいいだけのスペース・オペラには止まらない。
全宇宙のマイケル・ルーカー好きに捧ぐ。
ELOの「ミスター・ブルー・スカイ」に乗せて、ガーディアンズの接近戦が展開されるなか、ベビー・クルートだけがひたすら踊るオープニングから、ジェームズ・ガン監督の余裕すら感じさせるシリーズ第2作。『スター・トレック BEYOND』にも通じるスぺオペ定番設定の下、これだけキャラが入り乱れるなかでの脚本の交通整理はさすがだ。核は行方不明だった生みの親・エゴと育ての親・ヨンドゥに挟まれた主人公ピーターの苦悩と葛藤だが、そこはしっかりカート・ラッセルとマイケル・ルーカーの映画にする、あざとさもステキ。特にガン監督作の皆勤賞俳優・ルーカーへの愛はハンパなく、『ヘンリー』を知らない世代のハートもワシ掴み!