バッドボーイズ フォー・ライフ (2020):映画短評
バッドボーイズ フォー・ライフ (2020)ライター5人の平均評価: 3.4
チャラさ控えめ、意外な血縁エピソードはチョイ重
前2作を何も考えずにただ楽しむアクションととらえていた筆者には、ちょっとした驚き。『リーサル・ウェポン』シリーズの刑事たちがそうであったように、本作のコンビもそれぞれの“家族”について考えるようになるのだから。
元々家族がいたマーカスが安定路線に向かうのは想定内。想定外は、これまで家族の描写がなかったマイクの方。ウィル・スミスが『ジェミニマン』的な庇護者を体現していることは、この陽気なシリーズの中では新鮮に映る。
従来のチャラい『バッドボーイズ』を望む向きには重く映るかもだが、血縁エピソードゆえの人間味は捨てがたい。もちろん、アクションを楽しみたいファンの期待に応える出来にある。
”イズム”健在
前作から随分と間が空いたし、マイケル・ベイが監督賀じゃないし、ウィル・スミスもちょっとスターパワーに陰りも見えるし、と不安様相も多かったのですが。
結果としてイズム健在。バッドボーイズってこういう映画だったよなぁと。久しぶりにギラギラした感じのウィル・スミスを感じることもできましたし、ドッカンドッカンと実に楽しい娯楽アクション大作に仕上がっていて純粋に楽しかったのです。
ウィル・スミスはマーティン・ローレンスには頭が上がらないですね。早くも第4弾の話も聞こえてきますが、いいのではないでしょうか。
新たな挑戦よりも安定感を選んだシリーズ第3弾
50代になっても若い頃のようにヤンチャしていたいマイクと、孫もできて引退生活を考え始めたマーカス。引き際を巡ってすれ違うバッド・ボーイズたちが、マイクの命を狙う謎の組織を相手に全面戦争を挑む。監督がマイケル・ベイからベルギー出身の若手コンビにバトンタッチしたものの、基本的なノリは従来とほぼ変わらず。途中からのストーリー展開が、去年いろんな意味で話題になった某ウィル・スミス主演作にそっくりなのは苦笑いだが、概ね安定感のある仕上がりと言えるだろう。しかも「これが最後だ」とか言いながら、ラストは今後もシリーズ続ける気満々だし(笑)。
まだまだ、ワル男。
マイケル・ベイ監督の降板にやや不安もあったが、17年ぶりの新作にして、まるで「あぶない刑事」を観ているような安定感! おなじみの旋回カットに、ハワード警部らおなじみのキャラも健在。孫も生まれ、守りに入ったマーカスは、まるで“トロイ動物”であり、ハイテク捜査班チームとのジェネレーション・ギャップは『まだまだあぶない刑事』のようだ。ジョー・カーナハン脚本だけに、かなり強引な展開にもなるが、まさか去年ワースト級の“あの映画”とカブるとは! 戦争映画と化した前作超えとはいかないが、コミカルとシリアス、緩急のバランスを含め、シリーズのファンを満足させる仕上がりなのは間違いない。
主人公の老いも感じさせつつ、アクション全開!
スタイリッシュなアクションがお得意なM・ベイ監督の原点となったシリーズの第3弾。バトンを託されたベルギーの若手コンビは作品DNAを引き継ぎ、壮年に差しかかった刑事コンビの人生観の違いや過去も絡む警察アクションに仕上げている。マイク&マーカスを演じるW・スミスとM・ローレンスの相性の良さは健在だが、歳月の流れも感じる。17年前に比べると警察の捜査技術は進化し、ハイテクを駆使する若手チームVSオールドスクールにニヤリとさせられる。女性上司も時代を反映している。しかも驚くべきことに単なる勧善懲悪に終わらせず、なおかつ家族の重要さを強調するメッセージが! それがこのシリーズの進化ともいえるのだ。