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漁港の肉子ちゃん (2021):映画短評

漁港の肉子ちゃん (2021)

2021年6月11日公開 97分

漁港の肉子ちゃん
(C) 2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

くれい響

“お笑い怪獣”が惚れ込んだヘヴィな原作

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

劇中にオマージュもある『クレイマー、クレイマー』など、王道な展開で泣かせる家族モノを好む明石家さんまプロデュースだが、一筋縄ではいかないヘヴィな家族モノを得意とする西加奈子とのコラボということで、なかなか興味深い一本。小5の設定の割には、やけに大人びた娘・キクコ役を吹き替えたCocomiの芸達者っぷりに驚かされつつ、物語が進むことで、なぜ、“お笑い怪獣”が原作に惚れこんだのか、が判明していく。『マインド・ゲーム』のSTUDIO4℃らしい狂った描写や、『海獣の子供』の渡辺歩監督らしいダイナミックかつ繊細な自然描写もアリ。お笑いマニアにとっては、随所にさんまにまつわる小ネタも用意されている。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

こんなおかん、暑苦しいけどそばにいて欲しい

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ダメンズ好きな母親としっかり者の娘の物語で、母娘を取り巻く人々も含めてしっかりとキャラクターが練られている。さまざまな悩みを吹き飛ばすパワーと母性を持つ肉子は身近にいたら暑苦しいだろうけど、人間性はとにかく素晴らしい。絵柄のコミカルさと演じる大竹しのぶの愛らしさが不思議にマッチする。そして小学生の娘キクコがまた素敵だ。クラス内のパワーバランスに悩んだり、風変わりな少年に抱く初恋めいた感情は既視感ありで「うんうん」とうなずいてしまった。実は心の奥に重石を抱えている複雑な子供大人であり、切なさもあるキクコの声優を務めたCocomiが実に達者で、今後の活躍に期待したい!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

愚かなくらい純粋で前向きで天真爛漫な肉子ちゃんが愛おしい!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 なんとも愛すべき映画である。その愚かしいまでの純粋さゆえ、クズみたいなヒモ男ばかりに引っ掛かって苦労しながらも、しぶとく逞しく前向きに生きてきた天真爛漫な女性・肉子ちゃん。本作はそんな母親をちょっと恥ずかしく感じつつ、それでもなお愛さずにはいられない思春期の多感な娘・キクコの目を通して、東北の漁港町に暮らす肉子ちゃんの賑やかな日常が描かれる。『となりのトトロ』などジブリアニメにも通じる、ノスタルジックでほのぼのとしたタッチが魅力的。また、大人への階段を上り始めたキクコの自我の目覚めを交えることで、大いなる女性賛歌に仕上がっているところも素敵だ。

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平沢 薫

ここにもアニメだから可能な表現がある

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 物語の中心となる肉子ちゃんが、ひとりだけ、他の登場人物たちとは異なるギャグマンガの造形をしているのには理由がある。それは、彼女が他の人物とは別の次元にある存在だからなのだ。そのような形状で出現して動き回るので、この人物が実写映像で描かれたらその存在を否定してしまいたくなるに違いないが、この作品ではそうはならない。そして本作は、物語の語り手である小学5年生の感情の複雑さを、大人の感情のそれと同等のものとして描き出す。それが、アニメだから可能な、大人のような顔の子供と子供のような顔の大人のやりとりで紡がれていく。その背後で、緑の繁茂する場所、海面下を泳ぐ魚など、日々の景色の陰影が繊細で豊潤だ。

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村松 健太郎

機能したお笑い

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

お笑いというものはある種のライブ感が重要だと思っていたので、リズミカルなセリフの嵐が予想できるこの物語が映画というパッケージにちゃんと納まるのかなと思いました。しかし、流石は大竹しのぶ、そして明石家さんまですね。アニメーションでしかできないお笑いを創り上げてきました。恐れ入りました。
STUDIO4℃の作る映像面の美しさはやはり折り紙付きと言いますか、大変安心して見ることができます。
鬱屈した時に気持ちを晴らしてくれる良い一本です。

この短評にはネタバレを含んでいます
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