カラダ探し (2022):映画短評
カラダ探し (2022)ライター3人の平均評価: 3.7
意外とゴア描写強めなタイムループ系学園ホラー
毎晩夢の中で全身血だらけの少女に惨殺され、目が覚めると同じ一日を繰り返す6人の高校生男女が、このタイムループから抜け出すため、かつて殺された少女のバラバラ死体を全て探し出そうとする。さながら『エルム街の悪夢』×『ハッピー・デス・デイ』といった感じの和製学園ホラー。ゴア描写は思いのほか残忍で過激だが、しかし繰り返し殺されても目が覚めると生きているため、いまひとつ恐怖感や緊張感に乏しいことは否めない。ただ、学校内のスクールカーストを背景に、異なるグループに属する少年少女たちが、共に困難へ立ち向かうことで友情を深めていくという筋書きは、対立と分断の深まる現代社会への重要なメッセージと言えよう。
『ハッピー・デス・デイ』×『ブレックファスト・クラブ』な青春
原作と異なり、友だちのいない陰キャ設定なヒロインを橋本環奈が演じている時点で、どこかヤバい空気が漂うものの、これがしっかり『ハッピー・デス・デイ』×『ブレックファスト・クラブ』な青春ホラーといえる仕上がり。映画オリジナルキャラである清宮を含む、主要キャラ6人の描写やAdoが歌う楽曲の使い方など、かなり王道ではあるものの、編集や音響効果の巧さもあり、「少年ジャンプ」な友情・努力・勝利展開に高まっていく。そういう意味では『暗殺教室』を手掛けた羽住英一郎が監督を務めたのは適任だったといえる。ワーナーが新たに立ち上げたJホラープロジェクトの1本目だけに、今後の展開に期待したい。
意外や意外や
実は意外と邦画ではなかった学園スラッシャー。これはなかなか面白い目の付け所ですね。しかもそこにタイムリープモノ、人形系の話、ちゃんとした青春パートも取り込まれていて盛沢山。それでいて上映時間が102分ということで一気に駆け抜ける爽快感があります。前半と後半で同じホラーでもガラッとテンションが代わるのもメリハリが効いていて良かったです。
漫画的ではありますが、メインの6人のキャラクターも良く、また演者も巧い人が揃っているのでじっくりと堪能できます。羽住監督はホラーは珍しいところですが、やはり外連味のある絵作りは巧いですね。