アダム&アダム (2022):映画短評
アダム&アダム (2022)ライター3人の平均評価: 3
昔の映画を詰め込み、現代のビジュアルをプラスした感じ
もともとはトム・クルーズ主演でパラマウントが作ろうとしていた映画。実現に時間がかかった末、「フリー・ガイ」のライアン・レイノルズとショーン・レヴィ監督コンビで製作され、アクション、CGI、ユーモア、感動が混じった、彼ららしい映画になった。全体的に楽しいし、レイノルズと若い彼を演じる子役は魅力的。親子愛のテーマにも共感できる。一方で、主に80年代のハリウッド娯楽作を欲張りなほど詰め込んでつなげ、そこに現代のSFアクションのビジュアルをプラスしたような印象は否めない。お金をたっぷりかけた意欲作ではあるが、彼らにインスピレーションを与えた元ネタの映画のレベルに達しなかったのは残念。
ライアン・レイノルズがドライな味をプラス
未来から2020年にタイムトリップしたアダムが、12歳の自分自身と協力するハメになるというSFコメディ・アドベンチャー。監督ショーン・レヴィとライアン・レイノルズは『フリー・ガイ』のコンビでノリは同系だが、少年アダムが12歳なのでよりファミリーに寄せつつ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『スター・ウォーズ』ネタだけでなく『デッドプール』ネタも入れるところが本作流。基本は父親と息子の感動的ないい話なのだが、ウェットになりすぎないのは、ライアン・レイノルズの持ち味だろう。それにつけてもキャストが豪華。マーク・ラファロの父親役が魅力的なのは当然として、キャサリン・キーナーの悪役がお似合い。
自分と出会うドラマに無理がなく、観やすいタイムトラベル作品
タイムトラベル映画で、過去や未来の自分とコンタクトする物語は意外に少数派。同人格が2人になるとややこしいことが多くなるのも一因だろうが、本作は同じDNAを持っていることがドラマのキーポイントになったりして必然性は十分。タイムトラベルによる過去の書き換えも最低限の節度は守られる。
冷静に観れば『ターミネーター』的シリアスな設定ではあるが、監督が監督なだけにムードは軽妙。R・レイノルズもデッドプールの香りを少しだけ漂わせて笑いに貢献し、オマージュもわかりやすい親切設計。
予想どおり、一時的に完成される「疑似家族」の関係がエモーショナルな展開も用意するが、そこもベタな感動ではなくサラリと好印象。