プレデター:ザ・プレイ:映画短評
プレデター:ザ・プレイライター4人の平均評価: 4
フェミニスト的視点の貫かれたシリーズ最新作
欧州各国が領土を争う北米植民地戦争時代のアメリカで、その性別ゆえ周囲から過小評価され続けるコマンチ族の女戦士が、人間狩りのため地球へ降り立った異星人プレデターと死闘を繰り広げる。通算5作目となるウェブ配信専用のシリーズ最新作。1作目の原点へと回帰したような、「狩るか狩られるか」のサバイバルに特化したシンプルなストーリー構成の良さもさることながら、ジェンダー規範や伝統の壁を打ち破らんと苦闘するヒロインの成長譚として仕上げたことも、観客の感情移入を促すという意味で功を奏している。個人的にマーベルドラマ『レギオン』から注目していたアンバー・ミッドサンダーの活躍ぶりも嬉しい。
原点回帰
通算7作目となるプレデターフランチャイズ最新作。
今回は時代設定を大きくさかのぼり、人類の戦闘力がまだ微力だった頃の物語になっています。しかも、主人公が戦士=狩人として一人前になる前の少女ということで、久しぶりに”圧倒的な存在”としてプレデターの活躍を見ることができます。
思えばシリーズを重ねるごとに人類側があまりにも手強くなり過ぎていたのかもしれません。最初の相手からしてシュワルツェネッガーでしたが、あの頃はプレデターは怖さを感じさせる存在でした。今回の『ザ・プレイ』を見て久しぶりにそんな感覚が戻ってきました。まさに原点回帰と言える逸品でしょう。
300年前の地球で、2人の誇り高き戦士が対峙する
プレデターが、高度の文明と科学技術を持ち、"狩り"を何より尊ぶ、誇り高き種族であることは『エイリアンVS.プレデター』で明らかになった。何度も地球を訪れてきた彼らが、300年前にアメリカ先住民の戦士と遭遇したら----それを描く叙事詩的作品。空は大きく、深い森があり、沼がある。対峙する戦士2人は、出身惑星は異なるが、思考と行動がよく似ている。先住民の戦士の、"森"を味方につけるという戦術もいい。
監督は『クローバーフィールド/HAKAISHA』の世界を舞台に別の物語を描いた名スピンオフ『10クローバーフィールド・レーン』のダン・トラクテンバーグ。今回も本家を踏まえつつ、発想の妙で唸らせる。
プレデター世界の「狩る」基本を、対抗する人間とともに極める
「捕食者」「略奪者」というプレデターの本意を守りつつ、対抗する人間側を今回、18世紀ネイティヴアメリカンにしたことで、こちらも「狩猟者」として応戦に説得力をもたらす。未知の敵、それは日常であり、ヒロインが斧や縄で鍛錬してきた技術、および運動能力がバトルに生かされ、過去の作品以上に根源的な興奮へとつながっていく。「略奪」という意味で、プレデター以外の脅威もうまく物語に取り込んでいるし、森や沼などバックの自然も、過去のシリーズと同様、あるいはそれ以上にアクションのために機能してる印象。
基本的に、本筋から余計な方向にそれないシンプルな展開も好感。プレデターのエグさは期待どおり。残虐描写も適度で◎。