森の中のレストラン (2022):映画短評
森の中のレストラン (2022)サンクチュアリ(解放区)の可能性を考える
師匠筋・井筒和幸の影響を詰め込んだ中篇『祭に咲く花』で監督デビューした岸和田出身の泉原航一(1987年生)が、ゲートキーパー(自死を思い止まらせる為の命の門番)に触発されたヒューマンドラマで初長篇を飾った。森の奥深くで“最後の晩餐”を提供するシェフの京一(船ヶ山哲)。ままならぬ現実の厳しさを見据えつつ、シンプルな生きる歓びへの回復の道を探っていく。
どこかジブリヒロイン的な家出女子の紗耶(畑芽育)だが、その裏にはネグレクトやDVのホラーめいたグロテスクな現実描写が貼り付く。浮世の澱みを洗い流し、我々を生命活動のゼロ地点に初期化してくれるような幸福論的寓話だ。心優しきハンター役の小宮孝泰好演!
この短評にはネタバレを含んでいます