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バービー (2023):映画短評

バービー (2023)

2023年8月11日公開 114分

バービー
(C) 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ライター8人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

ミルクマン斉藤

ぶっ飛んだところが一切ないのが残念。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

いまどきバービーを扱うなら、それはフェミニズム的見地に拠るものになるのは予想がつく。しかもあのアメリカン・アイコンが現実に舞い降りるという時点で『魔法にかけれられて』を誰もが思い浮かべるだろうけど、G.ガーウィグともあろうものがあれを何一つ乗り越えられていないのに幻滅(このあたりが理屈っぽさの勝つN.バームバックとの協働の限界なんだろう)。バービーランドのキッチュな色彩とハリボテ感は悪くないが、箱庭的にスケール感がなさすぎる。マーテル社の自虐的メタフィクショナルな設定ももうひとひねり欲しかった。まあ、『2001年宇宙の旅』の完コピパロディーを冒頭からカマしてみせるのにはちょっと笑ったけど。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

女も男も生きづらい、それでも明るく行こうじゃないか!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 完璧な人工的世界から不完全な現実の世界へ、バービーのそんな旅の物語がポップに描かれる。

 とはいえ、そこはG・ガーウィグ、男権社会風刺を盛り込みつつ、女性の生きづらさはもちろん、男性の生きづらさにも言及。ドタバタのコメディ色をまといながらも鋭い人間観察が生き、映画や音楽への男性のオタク的こだわりを女性がどう受け止めるかを含めて、いろいろと考えさせられた。

 ケンの啓発へといたるドラマに不満はあるが、基本的にはバービーの明るさこそ命。屈託のないキャラになりきったM・ロビーのチャームだけでも十分に引き込まれる。

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なかざわひでゆき

世界中の女子はもちろん、男子にも見て欲しい傑作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 女性の主体性や多様性が尊重された完璧な国「バービーランド」に暮らすバービーとケンが、ひょんなことから「リアルワールド(=人間の世界)」へ足を踏み入れたところ、バービーは根強い男尊女卑の現実にショックを受け、ケンは初めて味わった「男社会」に感化されてしまう。いやあ、マテル社公認のバービー人形公式映画で、このストーリーを打ち出したグレタ・ガーウィグとマーゴット・ロビーのチャレンジ精神に脱帽!バービーが体現する女性のステレオタイプやルッキズムにまで批判が及ぶのだから恐れ入る。こうしたフェミニスト視点の社会風刺を、ポップでカラフルでキュートなエンタメ映画へと昇華させたガーウィグの手腕は見事だ。

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斉藤 博昭

押し付けず、エンタメとしてテーマを伝える離れ業的な傑作

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

フェミニズムや多様性、さらに男性側の立場も巧妙にストーリーに入れ込んで高く評価されているが、正直言って、そのあたりが「これ見よがし」でなく、あまりにナチュラルに溶け込んでいることに驚くはず。ここまで説教臭くなく、楽しさで盛り上げ、今の社会に訴えたいことを感覚的に伝えた点が傑作。
重力が無視されるなどファンタジー色も強いバービーランドでひとまず夢心地にさせ、要所でテンションを上げるミュージカルシーンを盛り込むなど全体の構成にもソツがない。
マーゴット・ロビーは「名演技」とは違うレベルで、人間界に飛び込んだ人形の常識なさを、わかりやすく嫌味なく表現し、誰もが好きにならずにはいられないキャラに憑依。

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平沢 薫

このアイコンの意味を新たな視点から描く

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』で、名作小説を新たな解釈で描き直したグレタ・ガーウィグ監督が、今度は世界的なアイコンを、"今だからこそ"の視点で描き直す。冒頭から『2001年宇宙の旅』のパロディの形で、それまで赤ん坊型か児童型しかなかった玩具人形の世界に、このドールが革命を起こしたことを宣言して、歴史認識を披露。そのうえで、このアイコンの持つ多様な意味を描くのだが、その際に従来の一般的イメージを否定するのではなく、それを踏まえているのが、この脚本の秀逸さ。バービーの視点だけでなく、ケンの視点も描くところも現代的。作中でこのドールの創造者が語る製作意図が、今聞いても胸を打つ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

SNS騒動は残念だったが映画は最高!

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

30年前ならともかく、今の時代、バービーの映画を作るのはすごく難しい。しかし、こう来たかと心底感心させられた。美しいマーゴット・ロビーを主演に起用するのはステレオタイプではと思いきや、それを逆手に取って完璧なルックスのバービーが女の子たちにプレッシャーを与えている事実にも触れるのだから賢い。冒頭から最後のせりふまで、そしてヘレン・ミレンによるナレーションも、とにかくウィットが効いていて笑いっぱなし。プロダクションデザイン、ダンスや歌、すべて最高。女性のエンパワメントをうたうが、男性を虐げるものではない(うわべだけ見たらそう思うかもしれないけれど)、“正しい”フェミニスト映画だ。

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大山くまお

ポップかつ丁寧に「女性の解放」について考えた快作

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

バービー人形の世界「バービーワールド」からバービーとボーイフレンドのケンが人間の世界にやってきて……という話かと思ったら、そこからツイストが効いているのが面白い。バービー人形が持たされている“女性礼賛”のイメージや「ピンク推し」についても考えがめぐらされている。“弱者男性”が憧れる男社会の俗悪さの描き方もあくまでポップ。女性は頑張っても頑張らなくてもいい、だけど男社会には安易に取り込まれないで! とメッセージを投げかけ、丁寧に「女性の解放」について考えられた快作。全年齢向けなので、夏休みはぜひ母と娘で観に行ってほしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

宣伝は最悪、作品は傑作

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

まずは何と言ってもどう弁解されても許容しようがないアメリカ本国の宣伝の選択については120%悪手としか言いようがない。そのことをまず書いたうえで、作品については傑作、今年を代表する一本になるでしょう。グレタ・ガーウィグ監督作品でマーゴット・ロビーが製作にまで関わっているので”お人形の冒険”以上のものになるとは思っていましたが、ここまで様々な物事に踏み込んでくれるとは想像以上でした。ポップな画を楽しみ、細かい小ネタに笑い、語られるテーマに唸る。見に行くことに諸々引っ掛かりが出来てしまったのが残念でならない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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