ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない! (2025):映画短評
ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない! (2025)
ライター2人の平均評価: 4
観たいツボを次々と押さえ、再会の歓びを満喫
過去作品と同様に、ストップモーションならではのユニークな表現を駆使しつつ、この新作はいつも以上にテンポの良さに乗っていける。最近のハリウッドメジャースタジオのアニメが「詰め込みすぎ」な膨満感を与えるのとは違い、「無理せず、いろんなシーンを見せる」節度が心地よい。
ウォレスが開発したノーボット(AIのロボット)がとにかく楽しい。ちょっぴりだけAIの恐ろしさをブラックに盛り込むあたりも絶妙。そして逮捕されてたフェザーズ・マッグロウ(ペンギン)の狡猾さ、邪悪さが、あの無表情でここまで生きるのか!と快感レベル。終盤のアクション場面も「人間以外だから成立する」法則が次々で、観たいものが観られる安心設計。
これぞ、映画史上最高の悪役!
1993年の短編「ペンギンに気をつけろ!」の直接の続編。だが、見ていなくてもすぐ入っていけるのでご安心を。あのペンギンは間違いなく映画史上最高の悪役キャラクターのひとり。一見かわいく、表情もなく、まばたきと体の動きだけしかないのに、頭が良い悪者だとしっかり観客にわからせ、笑わせるのだからすごい。アニメーターとしてはついもっと動かしたくなるだろうが、あえてそこを抑制したことに拍手。テクノロジーが進んだのは明らかでビジュアルには洗練が感じられるものの、この映画の魅力である手作り感は失われていない。単純に可笑しく、良い意味でばからしく、とてつもなく愛らしいこの映画の精神も健在。