ジャスティス・リーグ (2017):映画短評
ジャスティス・リーグ (2017)ライター5人の平均評価: 3.6
ダーク路線を本格払拭したスーパーヒーロー大集合のお祭り映画
いい意味でも悪い意味でもDC版『アベンジャーズ』。というか、やっていることは基本的に『アベンジャーズ』とほぼ変わらない。『ワンダーウーマン』でもその傾向はあったが、今回はDCユニバースならではのダーク路線を大きく軌道修正し、単純明快なファミリー向けエンターテインメントとして仕上げている。そこは恐らく好き嫌いの分かれ目になるはずだ。
ワールドプレミアを北京で行ったことからも、中国マーケットでの成功を視野に入れていることは明白。それゆえ、ありきたりな勧善懲悪の物語に落ち着いてしまった感も否めない。少なからず不満は残るものの、ひとまずスーパーヒーロー大集合のお祭り企画として楽しむべきなのだろう。
まさに「Come Together」なセッション感
シグリッドが歌う「Everybody Knows」のカバーが流れるダークなオープニングだけに、余計な心配もしたが、未だ興奮冷めやらぬ状態で、ダイアナ・プリンスに再会できる歓びたるや! そして、まさに「Come Together」なお祭り映画と化す。とはいえ、本作のMVPはジョス・ウェドンとフラッシュ(エズラ・ミラー)だろう。特にフラッシュを『ホームカミング』でクイックシルバーなキャラにしたのは正解で、ダーク路線に進みつつある展開に、待ったをかけてくれる。キッチリ120分でまとめたこともポイント高いが、なにより『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』に勝っていたことで、ちょっと安心(笑)。
マーベルに先行されていたDCが反撃スタート!
マーベル派かDC派かは好みが分かれるが、私自身はDC派なので「待ってました!」の1本。レナード・コーエンの名曲が流れるオープニングでスーパーマン亡き後の地球の不穏な雰囲気を伝え、DCヒーローの結集までのテンポもいい。アメコミ好き以外には馴染みのないフラッシュやアクアマンも『ワンダーウーマン』でチラと登場してるので唐突感はなし! DCものはマーベルに比べると暗めだが、エズラ・ミラー演じるフラッシュがコミック・リリーフとして大活躍。メタヒューマンの悩みや誰もが思っていたバットマンへの疑問も率直に口にする現代っ子フラッシュのスピンオフを作ってほしいと思わせた。次作への期待がふくらむ締め方もいいぞ!
DCユニバースの行方が気になるなら見ないわけにはいかない
本作に登場する新ヒーローたちの単独映画の製作が決定済みなので、彼らを魅力的に描くことが本作の必須条件。その条件をきっちりクリア。フラッシュ、アクアマン、サイボーグともキャラが鮮明、背景も分かりやすく、各自にちゃんと見せ場がある。中でもフラッシュのコミュニケーション障害ぽいキャラは、TV版とはまた別のキュートさだ。
このジャンルのファンには、持ち味の異なる2監督、ザック・スナイダー監督の降板とジョス・ウェドン監督の再撮影も気になるところだが、そこを逆に楽しむ手もある。ここはスナイダーでここがウェドンかと推測しながら見るのも一興。それぞれが単独で撮ったらどうなったかを想像するのも面白い。
フラッシュが愛おしすぎ! たまっていたモヤモヤが一気に解消
過去にDCのチーム映画で味わったモヤモヤ感を、この一作がスッキリ払拭。5人のキャラ立ちがすばらしく、フラッシュの軽さ、バットマンの哀愁、アクアマンの強がり野獣キャラなど、すべてが物語にきちんとハマり、感情移入しやすいのが成功の要因か。
ユーモアの入れ方も絶妙だが、DCらしいダーク&シリアスなトーンは守られ、そのあたりが『アベンジャーズ』と大きく印象が変わる。ダニー・エルフマンらしい、ファンタジックなスコアが起こす化学反応を悪くない。
各自のパワーの瞬間芸的な連係にはアドレナリンが上がったが、見せ場もサクサク進みすぎか。肝心なシーンが、もうちょっとドラマチックに演出されていれば完璧だったかな。