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西遊記~はじまりのはじまり~ (2013):映画短評

西遊記~はじまりのはじまり~ (2013)

2014年11月21日公開 110分

西遊記~はじまりのはじまり~
(C) 2013 Bingo Movie Development Limited

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

ミルクマン斉藤

耳に残るは『Gメン75』(笑)。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

周星馳の西遊記といえば20年近く前の傑作『チャイニーズ・オデッセイ』だが、無茶苦茶な中にもロマンティックな味付けがある(とはいえ超強いスー・チーが何故かヘタレな玄奘にストーカーするという…)こと以外ほぼ無関係。星馳は出てないが、主役のウェン・ジャンがほぼ完コピ状態なので、不在による寂しさは案外少ない。孫悟空はほとんど『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム、沙悟浄がグエムルだったりするのはまあいいとして、妖怪化する以前の本性がなんともショボくて苦笑。ライバル降魔師・空虚王子(お供は素人っぽさ全開のおばさん)とのやりとりもホントどうかしていて素敵すぎ。このグダグダ四人組の天竺行が早く観たい!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

人間の可笑しさも哀しさも残酷さも内包したアジア的な怪異譚

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 三蔵法師が実は妖怪ハンターだったという設定のもと、自由奔放な発想と唐突なギャグのつるべ打ちで「西遊記」の前日談を賑やかに描くチャウ・シンチー監督最新作。
 そういえば孫悟空も猪八戒も沙悟浄も妖怪だったんだよな、と再認識させられる伝奇調の怪異譚には、人間の可笑しさも哀しさも残酷さも内包したアジア圏特有の湿った空気が漂い、日本人にもどこか懐かしい心地良さが感じられるだろう。
 さらに、日本人ならニンマリさせられるのが「Gメン’75」のテーマ曲。本編でどう使われているのかを見れば、ただ単なるネタでは決してないことが理解できるはず。それだけに、一昔前のようなCGの微妙な低クオリティが惜しまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

お馴染みの伝記小説がシンチーの手にかかると!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

孫悟空=マチャアキな世代だし、西遊記なんて退屈かも。と思っていたら、チャウ・シンチー作の前日譚で目からウロコがぽろり。プレ三蔵法師こと玄獎が妖怪ハンターという設定がまず楽しいし、登場する奇想天外な妖怪たちの哀切もバカバカしくて笑える。コラーゲンでお肌ぴかぴかの猪八戒にはうっとりだ! 平和な村を怪魚が襲う冒頭からアクション全開、笑いも全開、特撮も全開! 玄獎の成長物語としての後半の展開が素晴らしく、チャーミングなスーチー扮する女妖怪ハンターに惚れられても色即是空を通す姿は拝みたくなるほど神々しい。そうだ、アドリブ乱発な孫悟空とスーチーの掛け合いは必見。彼女のこらえきれない笑みがキュートなの。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

スピルバーグから板野サーカスまで、ガッツリやってます!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

スピルバーグ・ヲタのチャウ・シンチーらしく、『E.T.』オマージュの前作『ミラクル7号』に続き、容赦しない『ジョーズ』オマージュから始まる本作。18年前に西遊記をテーマにした『チャイニーズ・オデッセイ』2部作に比べれば、かなり分かりやすく一般向け。シンチー自身の出演もないながら、シンチー作品に仕上げるため、敬愛する“師匠”のサポートに徹した俊英、デレク・クォック監督の功績も認めたい。そして、板野サーカス全開なゲーム「アスラズ ラース」なクライマックスや、ドリフの人形劇「飛べ!孫悟空」でもやっていた「Gメン」歩きなど、相変わらずジャパニーズ・カルチャーに対する造詣の深さには頭が下がるばかりだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ベタなギャグ×ド派手VFX×カンフーが盛り盛り

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

猪八戒のシーンは、京劇の様式入り、音楽は70年代のTV番組「Gメン75」のテーマ、ギャグはオヤジ系、なのだが、このレトロな感じは、大古典「西遊記」への敬意の表明というより、「少林サッカー」のチャウ・シンチー監督・脚本の持ち味。主人公は孫悟空ではなく三蔵法師、しかもまだ修行中の若者という設定は、ハリウッドで大流行中のおとぎ話の再構築仕様だが、この映画が楽しいのは、そんな設定のせいではない。いかにも東洋的な来歴とデザインの妖怪たちが、チャウ・シンチー流のベタなギャグと特殊効果とカンフーで暴れまくるだけで楽しい。

必見なのは、ラスト近くのあるシーン。ここだけ、東洋版「2001年宇宙の旅」かも。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

鳥山明先生も絶賛しておられます!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

50歳を越えたチャウ・シンチーが監督のみに徹した英断に拍手! 中国の若手俳優ウェン・ジャンを主演に北京語で撮る――という現実的な選択での成功。香港活劇術の継承と、自らの加齢との闘いという両方において、ジャッキー・チェンとは異なるロールモデルの道を切り開いたと言えるかも。

作風は『少林サッカー』『カンフーハッスル』より王道寄り(80年代ハリウッド味)。内容は『西遊記』エピソードZEROで、音楽にはゴダイゴ……ならぬ『Gメン‘75』のテーマも使用。「菊池俊輔」で『ドラゴンボール』につながったりも。

何より若き日の三蔵法師が純情な妖怪ハンターとして登場する、懐かしめの少年ジャンプ感がたまらない!

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

エンタメのツボを心得た、シンチー久々の快作!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『少林サッカー』をピークにハチャメチャさが薄れ、ちょっと寂しいなと思っていたが、そんな中でのチャウ・シンチーの逆転打。おなじみの『西遊記』を解体し、予測不可能な前日談に仕上げてみせた。

 冒頭の水辺の怪物の襲来からして『ジョーズ』を超える凄まじさ。観客を飽きさないスピルバーグ風のノンストップ演出を踏まえつつ、それを突き抜ける思い切りのよさに、まずは唸らされる。

 中盤以降はそんなスリルにシンチー作品らしいコメディ・テイストが加わって、ノリの良さは加速。ダメ男の奮闘を描きつつヒロイン、スー・チーを徹底的に愛らしく見せる点も技ありで、心を奪われた。円熟を感じさせる、シンチー久々の快作。

この短評にはネタバレを含んでいます
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