アントマン&ワスプ (2018):映画短評
アントマン&ワスプ (2018)ライター7人の平均評価: 4.1
ネクスト『アベンジャーズ』に向けても必見!
『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』に出てこなかった理由が、自宅軟禁されていたから……というのも、いかにもなアントマン。スーツを脱げば、ただのオッサンという頼りなさを補強すべく、ワスプと組ませたアイデアが面白い。
縮小&巨大化してスピーディに展開するアクションは、ふたりの連携も加わり、ますます目が離せない。ヴィランが二重・三重に存在する設定も、話がどこに落ち着くのか読めず、スリリングだ。
量子世界の説明が少々難解ではあるが、これはぜひ押さえておきたい。アントマンのその後を含めて、次の『アベンジャーズ』にダイレクトにつながってきそうな雰囲気アリ。個人的にはモリッシーへの言及に狂喜。
明朗快活で理屈抜きに楽しい『アントマン』第2弾
シンプルで明朗快活で理屈抜きに面白い。この家族揃って楽しめる安心感こそ『アントマン』シリーズの醍醐味だろう。坂道の多いサンフランシスコの街中で繰り広げられる、拡大と縮小のサイズ変換を繰り返しながらのハチャメチャなカーチェイスなどワクワクしっぱなし。そんな中、ひたすらシリアスな新キャラ、ゴーストは若干浮き気味だ。
今回は量子レベルの世界へと突入するわけだが、その美しくも幻想的な映像も大きな見どころ。また、CGで再現されたマイケル・ダグラスやミシェル・ファイファーの若い頃の違和感のなさにも驚かされる。ラストのクレジット後には『インフィニティ・ウォー』と繋がるシーンがあるのでお見逃しなく。
ややこしい世界観に疲れた人向きの痛快アクション
地球と神々の国、宇宙と拡大する一方のマーベル・シネマティック・ユニバース。ややこしい世界観に疲れた人の一服の清涼剤となるのがアントマンだ。高度な撮影技術を駆使したアクション場面は爽快感だし、原子レベルな世界観とは思えないお茶の間感が心地よい。P・ラッド演じるスコットもメンターとなるピム博士も、“家族ファースト”な点が安心感を生む。壮大なことはアヴェンジャーズにまかせようスタンス? 彼らを取り巻く家族やム所仲間が笑いをもたらし、特に親友ルイスの話術は迫力あふれるアクション場面並みの破壊力だ。今回はワケありの強敵が登場するが、虫サイズゆえの新たな敵(?)も登場するクライマックスには爆笑した。
大御所のコスだけで、元が取れる!
どんどん表情が険しくなるスターク社長から、お気楽ご気楽キャラを引き継いでる感のあるバツイチヒーローのラングだが、ペイトン・リード監督の続投もあり、前作のコミカルな犯罪映画テイストは変わらず。しかも、拡大縮小が繰り返されるスピーディーな展開や、スタイリッシュでSキャラ増なホープなど、しっかりスケールアップ。透明キャラだけに、宿敵ゴーストが薄味だったりするが、初代アントマン&ワスプとして登場するマイケル・ダグラスとミシェル・ファイファーのコスプレは圧巻だ。とにかく“繋がる”エンディングまで、『インフィニティ・ウォー』と別角度から楽しませてくれる。
ここまで素直に楽しいマーベル映画は貴重です
マーベル映画の中でダントツのノリの良さは、続編でもしっかりキープ。ミクロの世界で言及される量子の法則など、やや複雑怪奇な要素と、とぼけたり、ズッコケたりするネタのコントラストが、アントマンならでは。MCU他作品とのリンクも、わずかなセリフに散見する程度で、作品単体としての勢いと楽しさを損なわない。
急激なサイズの変化と、それがアクションに及ぼす効果は、前作以上に計算された感じ。スピード感やダイナミズムは過剰なわりに、残虐さが少ない軽やかさは、バトルシーンにもミュージカル映画のような心地よさを与えることに成功。そしてエンドロールのオマケ映像は、久々に目を疑いながらも大いに納得するものだった。
縮小/拡大アクションの妙技が超絶!
<縮小/拡大能力> X <スピード> のアクションの変幻自在さに圧倒され、瞬きすることだけを自分に禁じ、ただ目を見開いて陶酔するのみ。特に街中のカーチェイス。自動車が走行しながらサイズを変え、極小サイズになって他の自動車の下をくぐり、また元のサイズに戻るという変化が絶え間なく続き、しかも映像のスピードはまったく損なわれない。むしろ加速していく。その快感。また、この縮小/拡大アクションは、料理店の厨房を舞台に各種調理道具を掛け合わせるなど、バリエーションも多彩で楽しい。
もちろん、映画のギャグとノリは前作と同じ。さらにドラマには「アベンジャーズ」新作への布石があるような。その部分も必見。
理屈抜きで楽しい!今回も笑いがたっぷり
「ブラックパンサー」のように時事的で意義深いメッセージがあるわけでも、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のように重要なキャラクターが死んで大ショックを受けさせられるわけでもない。素直に楽しくて、無邪気に笑わせてくれるのが、MCUにおける「アントマン」の立ち位置。人間が蟻のサイズになってしまうという、そもそもがおちゃらけたコンセプトであることを、作り手がしっかり意識しているのが成功の鍵だ。この続編でも、小ささと(今回はとくに)大きさにまつわる笑いがたっぷり。サンフランシスコの街で暴れ回るシーンがたくさんあるのも前回にはなかった魅力だ。