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ゴールデン・リバー (2018):映画短評

ゴールデン・リバー (2018)

2019年7月5日公開 122分

ゴールデン・リバー
(C) 2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

山縣みどり

登場人物像が複雑化している今どきの西部劇

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ゴールドラッシュに湧く西部が舞台の西部劇だがアクションよりも人間ドラマが重要で、主要キャラクターの人物像が複雑なのが今どきだ。毒父に虐待されて殺し屋になってしまった兄弟や家族との確執を抱えていそうな追跡係、彼らから狙われる男は理想主義者でもある科学者といった具合だ。生い立ちや思惑が複雑に絡み合い、事態が思わぬ方向に進行する。映画化を企画したジョン・C・ライリーが堅気になりたい殺し屋の人間臭い面を巧みに演じる。彼の演技を見るだけでも映画館に足を運ぶべし! 
映像からはフランス人のJ・オーディアール監督が考える西部劇のイメージが伝わってくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

豪華な主演陣の顔合わせも魅力の異色ウエスタン

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『真夜中のピアニスト』や『ディーパンの闘い』で知られる、フランス人監督ジャック・オーディアールの初の英語作品は、ハリウッドの伝統的ジャンル西部劇。泣く子も黙る最凶の殺し屋シスターズ兄弟(!)が、利権の独占を狙う地元有力者の依頼で2人の人物を追跡するものの、やがて追う側と追われる側の間に奇妙な友情が芽生えていく。いわば、暴力と争いによって形作られた、アメリカの開拓精神に疑問を投げかける作品。ジョン・C・ライリー、ジェイク・ギレンホール、ホアンキン・フェニックス、リズ・アーメッドという主演陣の顔合わせがなんとも魅力。兄弟の母親役キャロル・ケインも少ない出番ながら存在感を発揮する。

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相馬 学

荒々しい! 痛々しい! 面白い!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 米西部開拓時代の野蛮な側面を、人間ドラマに重ねて見せる力作。主人公の兄弟に、ラフでタフで憎めない『ワイルド・バンチ』的な存在感が宿り、まずそこに引き付けられる。

 ゴールドラッシュに目がくらんだ男たちのドラマは、業のような人間の欲望を浮き彫りに。ならず者の兄弟はもちろんだが、彼らに運命を揺さぶられる小市民的なふたりの存在も活き、フロンティア社会の縮図を俯瞰させる。役者陣もそれぞれに味アリ。

 肉体の一部を失った痛みや苦しみというオディアール監督ならではのテイストも宿り、気骨のあるエタンテインメントに昇華。真の理想郷がどこにあるのかを問いかける、寓話のような味わいに満ちた結末もいい。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

アーメッドとギレンホールの物語が味わい深い

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 原作はタイトルも「シスターズ・ブラザーズ」="シスターズ兄弟"というトボケたテイストで無法者たちが組織に追われることになって右往左往する話で、そのまま映画化すれば兄弟愛風味のクライム・コメディになりそうなところを、まったく別の雰囲気の映画になったのは、監督が「ディーパンの戦い」「君と歩く世界」のジャック・オーディアールだから。監督の意図により、兄弟のドラマと並行して、砂金を手に入れてある夢を実現しようとする男と、その夢に反応してしまう無法者のドラマが描かれる。この2人を演じるのがリズ・アーメッドとジェイク・ギレンホール。ゴールドラッシュ時代には生きにくそうな2人の男の物語が味わい深い。

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くれい響

まさかのジョン・C・ライリー萌え!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ジャック・オディアール監督が、開拓時代のゴールド・ラッシュが舞台の西部劇を撮る、というミスマッチ感。あまりに緩慢な流れに、前半こそ戸惑うものの、奇妙な友情で結ばれる男たちのロマン&意外な展開が進むにつれ、『エグザイル/絆』にも似たブロマンス感がクセになっていく。『ナイトクローラー』の師弟コンビ復活も嬉しいが、じつはアンソニー・ウォン×ラム・シューなキャラを演じるジョン・C・ライリー萌え映画。厄介な弟の面倒を見ながら、初めての歯磨きに水洗便所、娼婦とのイメプレなど、要所要所で笑いを取り、とにかく愛らしい。さらに、荒野を照らす陽の光など、ブノワ・デビエによる撮影が印象的。

この短評にはネタバレを含んでいます
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