キングスマン:ファースト・エージェント (2021):映画短評
キングスマン:ファースト・エージェント (2021)ライター5人の平均評価: 3.6
歴史とフィクションを融合したシリーズの新境地
前2作の前日談となるシリーズ第3作。史実を背景にしながら物語を組み立てている点が、まず面白い。
時代は第一次世界大戦期で、サラエボ事件をはじめとする歴史的事件の現場に主人公親子を置く。さらに、実在の人物ラスプーチンやハヌッセンなどをヴィランに設定。主人公が架空のキャラである以上、史実に忠実でないのは言うまでもないが、フィクションとノンフィクションの融合は絶妙という他ない。
前2作と比べるとユーモラスというよりはシリアス。それでもアップテンポで押し通す、シリーズ特有の魅力はさらに冴える。ダンスを模して格闘を展開させるスピード感満点のアクションは必見だ。
そっち行く?と感じつつ、途中“らしさ”全開に心躍りまくり
過去に遡るが「エピソード0」というより、スピンオフ的。前2作とのリンクは考えさせず、単独作品として向き合う作りになってるかと。
主人公親子、および超有能な協力者たちにキングスマンの「精神」の源は感じられるが、このシリーズ、および監督の「らしさ」が全開になるのは、やはり痛快アクション。舞いながら戦うラスプーチン様の勇姿は、『キック・アス』あたりも頭をよぎり、アドレナリン急上昇&感涙モノ! そこだけでも必見!
基本、戦争が背景なので「らしからぬ」ダークな描写も多発しつつ、湿っぽくはなり過ぎず、揺り戻すように豪快に締(し)めへとたどりつく。いい意味での“雑多感”は1作目よりも2作目の印象に近い?
毒が抜け、ちょっと上品な仕上がりに
同じマシュー・ヴォーン監督によるシリーズ前日譚だが、舞台が第一次世界大戦ということで、英国貴族の部分が際立ったか、若干違うテイストに。絶体絶命な状況に追い込まれ、ときにリーアム・ニーソンに見えてくるレイフ・ファインズと親子鷹として活躍するハリス・ディキンソン。さらに、一見リス・エヴァンスとは気づかない怪僧ラスプーチンや酷い扱いを受ける断崖絶壁のヤギなどはツボるが、前2作が持っていた“弾けた毒”が圧倒的に足りないのは事実。黒幕の手下として、実在の人物がストーリーに絡む展開も興味深いものの、コサックダンス攻撃のラスプーチン以外、あまり印象的なバトルがないのも悔やまれる。
時代設定がはまる
人気シリーズ第3弾にして、エピソードゼロ。
”過剰なまでの英国紳士ぶり”に重点を置いているこのシリーズにおいて、まだギリギリ”貴族文化”が通用していた第一次世界大戦の時期を舞台に設定したことで、この部分がとても映えるようになりました。
エピソードゼロということで、キャストが完全に変わってしまっていることを良しとするか残念とするかは意見が分かれるところでしょうが、レイフ・ファインズの名家の平和主義の貴族の当主という役どころは、見事にはまります。敵役でいうとやはり怪僧ラスプーチンを演じたリス・エヴァンスは圧倒的な存在感です。トム・ホランダーの3役には笑いました。
今回は英国貴族のノーブルさにウットリ
きっちり『キングスマン』シリーズの前日譚であり、誕生秘話やアイテムのリンクもあるが、それらは楽しいオマケとして賞味するとして、前2作のイメージは脇に置いておき、新たな映画として見るのがオススメ。
時代背景は第一次世界大戦前夜。中心人物は高貴な英国紳士姿がよく似合う2人、レイフ・ファインズ演じる英国貴族と、グザヴィエ・ドラン監督『マティアス&マキシム』のハリス・ディキンソン扮するその息子。リス・エヴァンスが怪演するラスプーチンやハヌッセン、マタ・ハリなど実在の人物たちが入り乱れる"実はこうだったのかも"な歴史ドラマでもあり、戦争映画にもなっている。個人的には断崖のヤギのシーンがツボ。