サーホー (2019):映画短評
サーホー (2019)ライター5人の平均評価: 3.8
プラバースを称えよ!
プラバースを愛でる、いや称えるスター映画としては申し分ないが、前半のあまりの情報量の多さに脳内がパニくり、約50分を過ぎたところで、ようやくペースが掴めてくる。そして、『M:I-2』から『ワイルド・スピード MEGA MAX』へ。さらに、マイケル・ベイ(<『トランスフォーマー』)的破壊の美学を挟み、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』なバトルと、「俺ならこうする!」演出で畳みかける(『ターミネーター2』については謎!)。最後は、定番の家族の話としてまとめてくるが、やたら観客を裏切ることを意識した脚本ゆえ、物語の軸がしっかりした『バーフバリ』に比べると、カタルシスに欠けている。
現代劇でも特盛の説得力!
『バーフバリ』シリーズのプラバースが主演を務め、圧倒的な説得力を発揮するSFクライムアクション。
犯罪組織が跳梁跋扈する架空都市の説明から始まるので、映画は長尺で、所々破綻も感じなくもないのですが、とにかく勢いと有無を言わせぬ納得力と説得力でガンガンと話が進んでいきます。
置いていかれないように必死になってしがみついているうちに、どんどん映画の中に入り込んでいる自分がいます。今のインド映画とプラバースの勢いを感じさせる大作アクション映画に仕上がっています。
もちろん歌って踊ります(笑)。
<インド娯楽映画> x <香港ノワール> でド派手さ倍増
<インド娯楽映画>と<香港ノワール>を掛け合わせるとこうなる。思えばこの2ジャンルは、リアリズムよりもその瞬間のカッコ良さを重視するセンスが共通。様式美への偏愛も同じ。もともと親和性が高かったのではないか。そんな両者の良いとこ取りをしたら、過剰さがさらに度を越して、笑っちゃうくらいにド派手。香港ノワールらしい男同士の友情もう裏切りも、スローモーションのキメ映像もたっぷりでありつつ、インド娯楽映画らしくみんな揃って歌って踊るのだが、それが豪華客船だったり飛行場だったりするので画面の質感には現代的な硬質な手触りがプラスされ、無理なく一つの世界に収まってしまう。このインド娯楽映画の雑食ぶりが快感。
インド映画の底力を見せつける超ド級のクライム・アクション
とにかく圧巻である。国際的犯罪組織の内部抗争に謎の強盗犯の暗躍、追い詰める警察の内部にも様々な思惑や汚職が渦巻く中、凄腕の潜入捜査官と女性刑事が巨悪に立ち向かう。2時間40分を超える長尺ながら、銃撃戦にカンフーアクションにカーチェイス、ミュージカルにロマンスにコメディとてんこ盛り。なおかつ、どんでん返しに次ぐどんでん返しで全く飽きさせない。しかも、なんと前半80分がプロローグ!さあ、ショーの始まりだ!と宣言してからの後半は、あの『6アンダーグランド』も真っ青の超絶スタントの連続に『アイアンマン』的要素も加わり、そのうえ全ての伏線を回収しながら驚愕のラストへとなだれ込む。いや、参りました。
全てがオーバー・ザ・トップなメガ大作
『バーフバリ』シリーズで日本人を圧倒したブラバースがまたもやパワフルなアクションを見せてくれる。荒唐無稽すぎて目が点になる場面も多いが、ガチンコ乱闘はもちろん、ビル爆破、ハイスピード&ワイルドなカーチェイス、ありえないスカイダイビングとハリウッド活劇を超える迫力。全てがオーバー・ザ・トップ。男気と親子愛、裏切りと復讐、ロマンスと盛りだくさんな物語も複数のエピソードをきちんと収束させていて、スジート監督のお手並みに舌を巻く。インド映画に欠かせないミュージカル場面もラップ風サウンドとお色気ダンスが新鮮だし、全部カットしても物語の進行になんら影響のない無駄さがまたいい! 続編もありそう。