岸辺露伴 ルーヴルへ行く (2023):映画短評
岸辺露伴 ルーヴルへ行く (2023)ライター2人の平均評価: 3.5
ベルトルッチをお手本にしたパリの景色は魅力的
人の記憶を本のようにして読む特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を操る天才漫画家・岸辺露伴が、この世で最も黒くて邪悪な絵画の謎を追い求めてパリのルーブル美術館へ赴く。どうも必要以上にプロットが複雑であるうえ、全体的に説明過多なセリフが多いこともあり、かえってストーリーが分かりづらくなっていることは否めない。コミックが原作だからと言われればそれまでだが、キャラクターのイメージや役者の芝居がマンガじみている点も気になる。とはいえ、大正ロマン的な和洋折衷の怪奇幻想ムードは悪くないし、ベルトルッチの『暗殺の森』をお手本にしたという陰鬱なパリの景色も魅力的だ。
怪奇譚として映画版、飯豊まりえが最高
ドラマ班からスタッフの継投もあってか、原作のテンションの高い劇画的な物語が、映画化に当たって、非常に風変わりな怪奇譚に仕上がりました。こういう幻想的な映画をちゃんと作り切るのはなかなか大変ですが、キャスト、スタッフ、そしてルーブル美術館という舞台設定で、どこかこの世の話ではない雰囲気が漂います。キャストで言えばもちろん高橋一生がしっかりと物語のど真ん中に居てくれて、映画メインゲストの木村文乃がファムファタル的な魅力を見せてくれます。何よりコメディーリリーフに終わらなかった飯豊まりえが最高でした。原作とは違って変則バディムービーになっていました。