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マッドマックス:フュリオサ (2024):映画短評

マッドマックス:フュリオサ (2024)

2024年5月31日公開 148分

マッドマックス:フュリオサ
(C) 2024 Warner Bros.Ent. All Rights Reserved

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

くれい響

じつは、フュリオサの母ちゃん凄かった伝説

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

姐御キャラ以前、少女フュリオサの約15年に渡る復讐劇。くまちゃん携えたクリヘム率いるバイカー・ホードVS.イモータン・ジョーが統治するシタデルの抗争劇に巻き込まれたフュリオサという構図は面白く、ブーストをかけるエピソードもあるが、既視感あるドラマを重視したこともあり、エンジンがかかりそうでかからない。そんな歯がゆさの中、マックスの面影を持つ謎の男・ジャックを筆頭に、前作ほど魅力を感じるキャラはなく、結局“フュリオサの母ちゃん凄かった伝説”に留まった感アリ。まさかの『サンダードーム』級の仕上がりのためか、口直しに『怒りのデスロード』を観たくなる衝動に駆られる。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

そもそも”マックス"は復讐の物語だった

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『怒りのデス・ロード』と同じルックを持ってはいるが、物語の構造はまったく異なる。それもそのはず、あちらが3日間の物語だったのに対して、こちらは約15年の時が経過する一大叙事詩的。

 なので前作のようなチェーンリアクション的カーアクションには限界があるが、主人公フュリオサの復讐から軸足をずらさず、ドラマを研ぎ澄ませてくる。前作『アラビアンナイト 三千年の願い』で“物語る”ことの意味を考察したミラー監督らしい指向といえよう。

 思い返せば『マットマックス』第1作は復讐の物語だったが、そういう意味では原点回帰。マックスらしきキャラが一瞬登場するが、その役割をボカして描いているのも味。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

興奮パートを濃縮に絞って、よりドラマを重視した味わい

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

前作の「イカれて」「狂った」「突き抜けた」ノリは、わりと限定的。走行アクションの祝祭感も、あるシーンに凝縮されるが、そこを目にするだけでシリーズファンは歓喜だろう。今回はフュリオサの運命が丁寧に描かれ、そこがドラマチックに胸に迫ってくる作りが「マッドマックス」ワールドとして新鮮かも。涙の辛(から)さ、復讐の彼方に見える希望、荒野の孤独、母との誓い…随所に心にヒリつくポイントが。
子供時代もそっくり子役が演じてるとはいえ、どのシーンからアニャ・テイラー=ジョイに変わったか気づかないほどの自然な流れは驚異的。そして終盤は明らかにシャーリーズ・セロンの面影が重なるのは意図的ではなく映画の魔法だろう。

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猿渡 由紀

前作の強烈な凝縮感には欠けるがアクションは良い

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

「怒りのデス・ロード」の世界観はしっかり貫かれ、今回もアクションはすばらしい。しかし、3日間を舞台にした「デス・ロード」が、息をもつかせぬペースで圧巻しまくり、終わった後、会場中が「なんだかすごいものを見た」と(良い意味で)呆然となったのに比べ、ストーリーが長期間に及ぶ今作には、あの強烈な凝縮感はない。なにせアニャ・テイラー=ジョイが出てくるまでにも1時間あるのだ。ジョージ・ミラー独自の世界にまた戻れるのは嬉しいが、当然ながら最初に見た時のインパクトには欠ける。とは言え、「マッド・マックス」サーガの新たなチャプターにはふさわしい。できるだけ大きなスクリーンで見ることをお勧め。

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なかざわひでゆき

フェミニスト的な視点が際立つフュリオサの前日譚

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 強い女たちに守られた平和な地上の楽園から連れ去られた少女フュリオサが、強い男たちの支配する暴力的な弱肉強食の終末世界を生き抜かんとする。この基本プロットからして、前作以上にジョージ・ミラー監督のフェミニストぶりを実感せずにはいられない『マッドマックス 怒りのデス・ロード』スピンオフ。ビジュアルもアクション演出も前作のスタイルをそのまま踏襲しつつ、しかしこちらは10年以上に及ぶ受難と試練を描いた神話的な英雄叙事詩であり、争いと略奪と破壊に明け暮れる愚かな男社会に中指を立てる女性の物語でもある。アニャ・テイラー=ジョイの勇姿も然ることながら、クリス・ヘムスワースの「無能な悪党」ぶりがまた秀逸だ。

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村松 健太郎

圧倒的な熱量と勢い

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

ジョージ・ミラー監督の伝説的なアクションシリーズ最新作にして初のスピンオフ。なんと今回、フュリオサ役がシャーリーズ・セロンからアニャ・テイラー=ジョイに変更されました。はっきり言ってシャーリーズ・セロンが演じたからこそフュリオサは活きたのではないかと思っていたので、この変更は不安要素でした。しかし、いざ、本編を見てしまうとそんなことは余計な心配でした。これまでもハズレのないフィルモグラフィーを築いてきたアニャ・テイラー=ジョイでしたが、今回も最高です。細かく見ると『怒りのデスロード』に繋がるには整合性が取れてないところもありますが、問答無用の勢いと熱量で細かいことは吹き飛ばして駆け抜けます。

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平沢 薫

アニャ・テイラー=ジョイの眼差しが強い

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 フュリオサを演じるアニャ・テイラー=ジョイの眼差しが激烈。彼女の周囲でさまざまな出来事が起きるが、その目が放つ光は決して緩むことがない。その眼光にシビレる。

 広大な赤い砂漠を、奇怪な風体の無法者たちが、派手に改造した自動車やオートバイで縦横無尽に走り回る光景が何度もスクリーンに溢れて、『マッドマックス』の原点を再確認させつつ、アクションシーンの強度とスピードはアップデート。激闘シーンはそれぞれ長く、ほとんどセリフがなく、複数の人間が何をして何が起きているのかが継ぎ目なく描かれて、気づくと息を止めている。前作から続投のジャンキーXLによる心臓の鼓動のような音楽が、高まる心拍数と同期する。

この短評にはネタバレを含んでいます
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