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シビル・ウォー アメリカ最後の日 (2024):映画短評

シビル・ウォー アメリカ最後の日 (2024)

2024年10月4日公開 109分

シビル・ウォー アメリカ最後の日
(C) 2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

猿渡 由紀

リアルさたっぷりで怖い。戦争を美化しないのも良い

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アレックス・ガーランドは2020年にこの脚本を書いたとのこと。それから4年後の今も、絵空事とは思えず怖くなる。イギリス人のガーランドは「分断は自分の国でも起きている。これはアメリカだけの話ではない」と言うが、またもや大統領選が迫っているアメリカが舞台だから、よりリアルに迫ってくるのだ。あえてカリフォルニアとテキサスが同盟を組むという意外な設定も、先はどうなるのかわからないことを示唆する。内戦が起きているのに見ぬふりして普段の生活を続ける人たちも、現実できっといるだろう。どたんばでキャストされたというジェシー・プレモンスのシーンはとりわけ強烈。戦争を美化しないのもいい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ロードムービー×ヒロインの成長物語も見どころ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『アナイアレイション -全滅領域-』同様、女性主人公のディストピアSFではあるが、ニューヨークからワシントンD.C.に向かう老若男女4人のロードムービー構成や、今年3作目の日本公開作となるケイリー・スピーニー演じる駆け出しのジャーナリストの成長物語など、アレックス・ガーランド監督作にしては、明解かつ王道な作り。ガーランド作品の常連・ソノヤ・ミズノも、美味しい役どころで登場するなか、やはり先輩フォトグラファーを演じるキルスティン・ダンストが放つ、鋭い眼光がすべてを物語っている。大御所感溢れるドラマ演出から、没入感極まるクライマックスまで、とにかく目が離せない!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

「今、内戦が起きたらこうなる」を体感

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 設定は近未来だが、今、アメリカで内戦が起きたらこうなる、と体感させる。それを観客に身体で感じ取らせるのが目的なので、なぜ内戦が起きたのかという要素は省かれる。内戦が起きると、ただ人間が殺し合うだけで主義主張は関係ない、という状況が、ひたすらリアルに描かれていく。兵士ではない人々も殺し合う。内戦に目を塞いで暮らす人々もいる。ジャーナリスト達も公益のためではなく、名声欲や性向によって動く。監督・脚本のアレックス・ガーランドが英国人だから描けた部分もあるだろう。

 劇中、SuicideやSilver Applesの曲が流れるのが、脳が痺れて、一部の機能が停止している状態の背景音に相応しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

大統領選挙の年に観られるべき一本

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

A24初のブロックバスター映画ということで、果たしてどうなることかと思いましたが、創り手として大小様々な作品、多くのジャンルを幅広く手掛けてきたアレックス・ガーランドが監督したことでA24的なアート作品の空気感と娯楽大作感が良いバランスで両立していました。アメリカ合衆国が分裂して内戦になるなんてことは少し前なら絵空事でにしか思えなかったところですが、分断が深まっている今現在の有様を見るとどこか現実味が感じられることが怖いところです。大統領選挙の年に観られるべき一本と言っていいでしょう。

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斉藤 博昭

アクション映画の見応えと世界の今がシンクロ。これぞ表現の見本

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ここ数年の情勢を見る限り、アメリカがここまで分断される光景に“近い未来”だと生々しい衝撃を受ける人は多いはず。記録に徹するジャーナリストチームを主眼にしたことで、ロードムービーの味わい、行く先々での凄絶運命と安らぎのメリハリでテンションが途切れない。特に中盤に登場する、カメオ出演の名役者のキャラは、自身の正義と他者への偏見がMAXで沸点で達し、アメリカ社会を象徴。久しぶりに怖すぎるものを目にした印象。戦争の現場での兵士の異様な昂揚感も刻印された。
キャストも役に没入。『プリシラ』『エイリアン:ロムルス』と、まったく違った顔、および表現をみせるケイリー・スピーニーの柔軟力を実感した。大器の予感。

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森 直人

A・ガーランド監督×A24流儀のブロックバスター風刺活劇

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

合衆国を分断するテキサス・カリフォルニア同盟vs政府軍の内戦。日本なら『翔んで埼玉』流のジョークで済むだろうが、本作は大統領選を控えた2024年の実相を1861年からの南北戦争の再来イメージ――21世紀Ver.として設計する。ドキュメンタルな恐怖と臨場感は、ヴェトナム戦争時の真っ只中で撮られた怪作『懲罰大陸★USA』にも近い。

物語はジャーナリスト物の定石が基本で、先輩・後輩の関係にK・ダンスト&C・スピーニーを置いたのが秀逸。全体は劇場体感型の戦慄のアトラクションだ。スーサイドの「Rocket USA」「Dream Baby Dream」といった選曲等に非主流派の感性をしっかり残している。

この短評にはネタバレを含んでいます
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