ヴェノム:ザ・ラストダンス (2024):映画短評
ヴェノム:ザ・ラストダンス (2024)ライター6人の平均評価: 3.5
予想どおりの有終の美か、それとも…?
前2作の流れを汲み、明らかにヴェノムとエディの「一体化」が濃厚となり、同時にヴェノムがどんどん「正義化」。今回のシチュエーションから、こうなるのは必然で、最終章と銘打たれたことで多くの人がその結末を予想しながら観ることになるだろう(そうなってほしくない、とも願いながら)。
宿敵となるヌルの外見、恐ろしさは想定範囲内。終盤の大スケールバトルまでは、わりとドラマが中心となるが、全体の上映時間からして緩さは感じない。馬とヴェノムの合体、ミセス・チェンのスパイス的活躍(今回は最高レベル!)など見どころを配しつつ、全体のインパクトは優しめかも。3部作全体でNEWタイプのバディムービーを満喫した印象。
オフビートなノリを貫いて完結へ!
マーベル作品の中で独自のオフビート路線を歩んできたシリーズが本作で一応の完結。最後まで『ヴェノム』らしくて、嬉しくなる。
主人公エディとヴェノムのユーモアにあふれた二人三脚はそのままに、地球の危機的状況を拡張。エリア51を舞台に据えたSF設定の妙に加え、どこかのどかな砂漠の風景もコンビの空気感にマッチ。もちろん、VFXの豪快描写も見どころだ。
シンビオートが寄生する人間キャラが増えたことで、アクションの見せ場も増加。ヴェノム以上にかっこいいキャラの存在も気になり、これで終わるのは惜しい気もする。スピンオフ展開に期待したい。
予告以上の内容を盛り込んでの有終の美
冒頭の「マルチバースはもう飽きた!」の台詞が表すように、『デッドプール』ほどではないが、終始悪ノリの名コンビ・シリーズ最終章。「予告編、見せすぎじゃ?」の不安に反して、『テルマ&ルイーズ』ばりの逃亡劇を繰り広げたと思えば、ベガスでのスロット三昧に、副題通り“あの人”とガチでダンシング! 「エリア51」ネタをブッ混んでくるなか、リザードではなく『ノッティングヒルの恋人』の変人キャラの方でリス・エヴァンス参戦! 今回も監督変われど、アメコミ映画ブーム以前のブロックバスター大作の懐かしいテイストを随所に感じさせつつ、有終の美を飾っており、しっかり満足感に浸れる仕上がりに。
今度のエディとヴェノムは文字通りの絶体絶命!
前作のクライマックスを受け、警察からマリガン刑事殺しの容疑者と誤解されて追われる身となったエディとヴェノム。そんな彼らを米軍施設・エリア51の特殊部隊も捕獲せんと狙い、さらにはシンビオートの創造主である邪神ヌルと、その手先である怪物ゼノファージ軍団までもが襲い来る。まさに絶体絶命の危機的状況の中で、目まぐるしく展開していくストーリーは息つく暇もなし。それゆえ、これまで以上にライトな印象を受けるかもしれない。一方、エディとヴェノムのユーモラスな凸凹コンビぶりは絶好調。今回がシリーズ最終章とのことだが、スピンオフ等を期待させるような要素も散りばめられているので見逃せない。
ヴェノムならではの魅力が極まる
このシリーズの魅力の真髄は、ヴェノムの不気味なルックスと愛らしい性格を合体させたキャラ設定にあり。それを際立たせるのが、ヴェノムと宿主エディの掛け合い。それを熟知した製作陣が、そこに思いっきりフォーカスしたのが三部作最終作となる本作。
途中、ギャグ方向に振りすぎではないかと思わせる瞬間も一度ではないが、ヴェノムならではの姿の変形ぶり、何かに寄生したときの変貌のユニークさ、その形だからこその独特の動きで魅了するシーンも満載で、それがエンドクレジットでもたっぷり描かれる。
マーベル映画らしく、エンドクレジットがすべて終わった後にも嬉しいオマケがついているので、そこも見逃せない。
最後のダンスも”らしく”
何かと苦戦が続くSSUですが別格なのがこの”ヴェノムシリーズ”。肝はやはりトム・ハーディを主演に引っ張って来れたことだと思います。本人もノリノリの様でスタッフとしても名前を連ねています。そして本作はこれまでシリーズを牽引し続け来たケリー・マーセルが遂に監督を務めたのも注目。映画はこれまで以上にエディ・ブロックとヴェノムの二人の絆が大きな注目点になっていて、トム・ハーディの一人芝居(一人二役芝居)が多くなっています。これがやれるのもトム・ハーディの主役力の強さかと。3部作通して2時間弱という上映時間も好印象。