モンスターハンター (2020):映画短評
モンスターハンター (2020)ライター7人の平均評価: 3.3
主役は役者じゃなくてモンスターだったような!?
世界公開時にアジア人蔑視なセリフが問題視され、マイナスからのスタートだったが、人気ゲームの世界観を実写で作りたい監督の試みは成功していると感じる。ディアブロスや蜘蛛を思わせるネルスキュラ、空飛ぶ竜ことワイバーンといったモンスターたちが役者よりも華々しくスクリーンで大暴れ。こちらが主役? モンスター世界の造形もきちんと作り込まれていて、大スクリーンで迫力を体感するのがお勧めだ。ヒロインを演じるM・ジョヴォヴィッチは相変わらず美しく、アクション演技も器用にこなしていて、オタクな夫のために腹を括ったなという頑張りぶり。多分、シリーズ化を目指しているのでしょうが、果たして?
人気ゲーム映画化という高いハードルに対し、最善の作りでは?
そもそもこの監督、人間ドラマや深いテーマに関心の薄い人だが、その姿勢が「バイオ」と同じくゲーム実写化に合っていると、改めて納得。モンスターとの戦いをクリアすることに主眼が置かれ、「精神」としてゲームの醍醐味を受け継いでいる。感覚的には、結末もゲームの後味っぽい。
ギレルモ・デル・トロほどではないにしろ、モンスターの細部表現にはマニアックな味も備えており、怪獣映画としても可もなく不可もなく期待をクリアした印象。見やすさは保証したい。
ヒロインと、トニー・ジャーの謎の最強男のカルチャーギャップも笑えるスパイスとして効果的。さらに二人の関係に、ミラと監督の私生活&性格を重ねたくなり…と裏の楽しみも。
大雑把もまた味な、アンダーソン節炸裂!
『バイオハザード』シリーズの夢よ、再び!……と考えたのかどうかは知らないが、とにもかくにもゲームオタのアンダーソン監督らしい豪快なエンタメ作品。
キャラに関してはゲームファンにしっかり目配せ。バイオレンスも肉弾バトルもクリーチャー描写も快調そのもの。絵的な迫力で一気に見せ切る勢いの良さは買い、だ。
登場人物に宿るはずのドラマがないがしろにされているのは不満だが、それもまたアンダーソン監督らしい大雑把さと思えば、腹も立たない。ミラは今回も肉体的に大熱演で、トニー・ジャーとのバトルには目を見張った。寸止めされたヒロインの過去の物語は、シリーズ化後のお楽しみに取っておこう。
これぞまさしく純然たる怪獣映画
国連治安維持軍の精鋭チームが砂漠を偵察中に激しい砂嵐に遭遇し、凶暴な超巨大モンスターが生息する異世界へと迷い込んでしまう。とりあえず余計な人間ドラマや複雑なストーリー展開や深いテーマなどをバッサリと切り捨て、ひらすら人間VSモンスターのサバイバル・バトルに注力した潔さが賛否の分かれ目だろうとは思うが、しかしこれだけ出し惜しみすることなく巨大怪獣とアクションとゴアをてんこ盛りで楽しませてくれたら文句はあるまい。新型コロナ感染が収束する気配のない現状とはいえ、これは映画館の大スクリーン&大音響で堪能すべき映画だろう。
『バイオ』に続き、シリーズ化なるか?
トニー・ジャーに、ロン・パールマンとキャスティングについては分かっているのに、映画のことは相変わらず分かってないポール・アンダーソン監督。同じカプコンのゲームの映画化である『バイオハザード』の二匹目のドジョウとしてシリーズ化を狙っていることもあり、なかなか本筋に入ってくれない。とはいえ、料理長・アイルーも登場するゲーム愛や言語が通じない2人のバディムービーとしての妙、続編の話が流れた『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』を思い出してしまう砂上船の描写だったりと、いろいろと詰め込んではいる。で、ハンドラー(受付嬢)役の山崎紘菜については、もっと観たかった……。
全編モンスターとのバトルに特化して痛快
映画まるごと巨大モンスターと人間のバトルに特化。その潔さが気持ちいい。モンスターのサイズや特性は多様で、単体あり、群での出現あり、バトルのタイプも多彩。筆者のような原作ゲームを知らない観客にも、モンスターバトル映画として楽しめる。
モンスターたちはどの種も、動きがかなり実際の生物っぽく、体表の質感もリアルで、こういう生物がいてもいいと感じさせる存在感があり、モンスターたちを実際の生き物として感じられるところも嬉しい。
ポール・W・S・アンダーソン監督は『バイオハザード』もそうだが本作にも「一応筋の通ったドラマ設定」を導入、それがSFファンの気質な気がして、そこもいい感じ。
こういう映画に飢えていた
『バイオハザード』の監督・主演夫婦が再びゲームを題材に娯楽アクション大作を作ってきました。
程よい、ハッタリと娯楽性、そしてアクションが混ざり合った本作は停滞するハリウッドから久しぶり届いた娯楽アクション大作でした。こういう大掛かりな娯楽に飢えていたことを改めて感じることができました。できるだけ大きな画面で見ることをお勧めします。
共演にトニー・ジャーやロン・パールマンと言った顔が並んでいるのも゛わかっている感”があってうれしいですね。