ADVERTISEMENT

レディ・プレイヤー1 (2018):映画短評

レディ・プレイヤー1 (2018)

2018年4月20日公開 140分

レディ・プレイヤー1
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.9

くれい響

スピルバーグ怒りの七十路、爆走中!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『キャビン』のクライマックスじゃないが、何をどこまで出せばいいのか? これはもう、スピルバーグだから許される。スピルバーグが仕切らなければ、完全に大惨事になっていたヤバ案件。本作の謎を解くキーワードのひとつが『市民ケーン』というのも、2018年の映画とは言い難いだろう。ただ、スピルバーグのフィルモグラフィから見ても、しっかり『マイノリティ・リポート』の16年後に撮らなければならなかった宿命の一本に仕上がっており、ジョージ・ミラーに続き、“怒りの七十路”ともいえる狂気を感じずにはいられない。また、主人公のメガネには何の魅力を感じないぶん、「ガンダムでイク」森崎ウィンの見せ場あるのも嬉しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

虚構は逃避の場ではなく、現実を変えうる力でもあるという肯定感

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

サブカル百花繚乱の明快なVRアドベンチャーに込められたものとは何だろう。特撮・アニメ・ゲームに育まれ、想像力を全開させて「オアシス」を創設したハリデーは、スピルバーグの分身だ。そこは、オタクが市民権を得てカルチャーの先端へ躍り出た過去30年を総括する祝祭空間そのもの。資産として群がる狡猾な大人達ではなく、イノセントな少年少女のためにこそ存在すべきだという健全な思想。互いの顔も名前も知らない空間で出会い絆を深めていく若者達にとって、もはや虚構は現実逃避の場ではなく、自分を見つめ直し現実を変えうる力でもあるという大いなる肯定感。ただし世界とセカイのバランスをも語るところにスピルバーグの成熟を観た。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

大衆文化を食い物にする資本家へのオタクの逆襲

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 一握りの権力者が富を牛耳り、その他大勢の庶民が搾取される近未来。仮想空間「オアシス」に救いと希望を求めるしかない若者たちが、自分たちの心の拠り所である理想郷を守るため、欲にまみれた大企業の陰謀に立ち向かう。ある意味、これは大衆文化を食い物にする資本家へのオタクたちの逆襲だ。
 ガンダムやメカゴジラ、チャッキーにフレディ、三船敏郎からバッカルー・バンザイまで飛び出す「オアシス」の世界は、まさにオモチャ箱をひっくり返したような楽しさ。『シャイニング』のパロディも最高だ。『アルゴ探検隊』の骸骨や『死霊のはらわた』のアッシュまで出てくるので、サブカル好きは画面の隅々まで目を凝らしてチェックすべし。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

サブカルチャー愛を謳うオタクの勝利宣言

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 未来のVRゲームを描いているが、1980’sカルチャーをこよなく愛するクリエイターの趣味がその攻略に反映されているのがミソ。懐かしい映画、コミック、アニメ、音楽の引用が活き、ニヤリとさせる。

 興味を引かれたのは、普段はパッとしないがゲーム内では輝く主人公のキャラ。攻略のため、尊敬するクリエイターの趣味を熱心に研究しているのだから、これはもう筋金入りのオタクで、スピルバーグの分身とも言えるだろう。

 80年代はオタクという単語が侮蔑的に語られ出した時代だが、当時のオタクが愛したサブカルチャーが現代にあたえた影響は計り知れない。そういう意味では、本作はオタクの勝利宣言でもあるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

ノスタルジアに胸がときめきっぱなし

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

舞台は2045年。物語の大半は登場人物たちがプレイするゲームの世界で展開し、ビジュアルはテクノロジーをたっぷり使った最先端のもの。そんなところに、70年代や80年代、時には90年代に自分が大好きだったものが突然登場してきて、びっくりさせられることがしばしば。それも、単なるウケ狙いではなく、ちゃんとストーリー上、役割を果たすから、さらにときめく。現代人へのメッセージもちゃんとあるが、この映画は何よりも素直に楽しむことが第一。今作のポストプロダクションの間に、180度方向性の違う「ペンタゴン・ペーパーズ〜」を作ってしまったスピルバーグは、やはりすごい監督だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

名作SFキャラ大挙登場は懐かしいだけじゃない

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

「AKIRA」のバイクやアイアン・ジャイアントなど懐かしのSFキャラが続々だが、それが懐かしいだけではないのが、本作の真髄。80年代SFキャラ大挙登場の表向きの理由は、このゲームの作者が80年代オタクだからだが、真の理由は、本作が80年代SF映画が持っていた"あるもの"を甦らせるためなのではないか。それは、今は言葉にすると恥ずかしい"未来への希望"といったもの。だから、本作の主人公は2025年生まれで80年代を知らないのに、80年代のヒーローたちが大好きで、彼らのように行動する。そしてアイテムの製作年とは関係なく、映像のスピード感、臨場感は、現在の最先鋭。この二者が見事に両立している。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

素直に映画としての「新体験」を楽しみたい

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

CGアニメのようで実写にも見える。その究極の混沌を感じさせる意味で、今作の仮想空間「オアシス」のビジュアルは、映画という「作り物」の最高のサンプルのようだ。頻出する有名キャラや、80年代の映画・音楽にまつわる描写の元ネタがわかれば楽しさも増すが、その発見に神経を集中させるのは勿体ない行為にも思える。

主人公がバラックのような高層住宅を降りてくる冒頭から、仮想都市でのドライバー目線のカーレースまで、エンタメ作品の「お手本」のようなカメラワークは、スピルバーグの真骨頂。人間ドラマや心理描写でややなおざりな部分もあるが、これほどの未体験映像とテンポの良さに乗る快感は、おつりが来る価値があるのでは?

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT