ランペイジ 巨獣大乱闘 (2018):映画短評
ランペイジ 巨獣大乱闘 (2018)ライター7人の平均評価: 3.4
「三大巨獣対ドウェイン・ジョンソン シカゴ最大の決戦」
怪獣と呼ぶほどには巨大化しない動物が、都市破壊を繰り広げる白昼のビジュアルがポイント。一撃でビルディングを倒壊させることは出来ず、徐々にカタルシスを得るというブロック崩し的な原理。それもそのはず、原案は80年代アーケードゲーム。ゴリラ、オオカミ、ワニが異常かつ凶暴な進化を急速に遂げるという科学的エクスキューズは付けたものの、批評性など匂わせず脚本のIQは高くない。ただし、ドウェイン・ジョンソンと白ゴリラの交流のドラマは手堅くエモーショナル。霊長類学者なのに元特殊部隊というムチャな設定の筋肉野郎ジョンソン様が、兵器や超人さながらの活躍を見せるところが最大の見どころ/笑いどころである。
これはぜひIMAXで見てください!
巨大化&凶暴化して都市を破壊しまくる動物にロック様が立ち向かうという前提だけでグッとくる。しかもロック様が演じる以上は霊長学者もタフでなくてはならず、元特殊部隊員という肩書きアリ。矢でも鉄砲でも持って来い状態に胸踊る! 強欲な実業家やCIAも絡むが、メインは凶暴化した狼とワニ、ゴリラの破壊っぷり。彼らの通る道に累々と残る死体と火事と残骸という惨状に、タイトルに偽りなしと実感。世界大戦もかくやとばかりに蹂躙された都市で人々が逃げまどう図式に「モラルなき遺伝子操作はいけない」と考えるのもいいし、アクション演技をエンジョイするだけでもいい。IMAXがオススメのアクション活劇ですから。
遠慮なくバンバン突っ込みながら楽しむべし!
遺伝子操作で巨大化した動物軍団が大暴れして街を破壊する!仕組みはよく分からないけどね!という、実に清々しいほど単純明快な巨大怪獣パニック。しかも、迎え撃つは人類最強の男ザ・ロック様である。全編これ大味な力技の連続。お金をかけたB級娯楽映画のお手本みたいな作品である。
政府の軍隊が役立たずで事態をさらに悪化させ、底抜けにバカな悪人たちが次々と墓穴を掘っていくというアホ丸出しな展開はほとんどコメディ。作り手も完全に開き直ってますな。それでいてVFXの仕上がりは超一級。ザ・ロック様とホワイトゴリラの友情も微笑ましい。とりあえず、遠慮なくバンバン突っ込みながら、頭を空にして楽しむのが得策だ。
『カリフォルニア・ダウン』~怪獣篇~
ゴリラにオオカミ、ワニと、巨大生物になったプレイヤーが高層ビルをブッ壊すだけのレトロ・アーケードゲームが、まさかの映画化。ブラッド・ペイトン監督作だけに、ロック様の立ち振る舞いやヘリの使い方など、『カリフォルニア・ダウン』の大地震~巨大津波を怪獣に変えただけといっていいほど、ノー天気さでパニックを魅せてくれる。とはいえ、縦横無尽に捉える怪獣の雄姿にはこだわりを感じる。ロック様と意思疎通ができる白ゴリラとのバディムービー感や、敵が味方か分からん捜査官役のジェフリー・ディーン・モーガンの悪ノリっぷりなど、ゴッタ煮感もハンパない。結果、『ジュマンジ』より続編が観たくなる不思議な作品に仕上がっている!
巨獣たちの大都市破壊の痛快さに、もうひと味プラス
巨大モンスター映画は多々あるが、類人猿系は別格。「キング・コング」「猿人ジョー・ヤング」などの人気が根強いのは、彼らが人間に似ていて"ひょっとしたら、この巨大生物とは感情が通じ合うんじゃないか"と思わせるからだろう。そして彼らに感情移入してしまう物語になる。そんな定番ポイントをさらに展開したのが本作。巨大ゴリラは、変異以前にドウェイン・ジョンソン演じる主人公と仲良しで、2人は意志の疎通が出来るのだ。ゴリラとガタイのいい主人公が並ぶ姿は、まるで兄弟。そんな彼らの友情のドラマが、巨大モンスターの大都市破壊の痛快さに、もうひと味をプラス。巨大猿系映画へのオマージュもあちこちに盛り込まれている。
でっかいスクリーンで観ないと単純に損!という世界
映画にはスポーツと同じく「記録更新」を永遠に目指し続ける側面があり、到達地点が上がっていくのを見届けるのは同時代ウォッチングの醍醐味のひとつ。その意味で是必見。えっらいところまできたなあ~と素直に驚嘆し、ついにはマジ気が遠くなった(笑)。『キング・コング』から85年、『ゴジラ』から64年。『シン・ゴジラ』も踏まえつつ「巨大」と「破壊」に特化したハイパー怪獣映画!
巨獣たちは本当手のつけられぬ暴れっぷりで、対抗できる人類は確かにドウェイン先生しかいないわな。スマパン「Bullet with Butterfly Wings」をサンプリングしたキッド・カディの主題歌「The Rage」も燃えた~。
すべては巨大モンスターを観たい人のために……
巨大クリーチャーが暴れ回り、人間はひとたまりもない。そんなモンスターパニック映画(怪獣映画)を観たい人の欲求に、100%応える仕上がり。『パシフィック・リム』続編の怪獣描写にもし不満を感じていたら、この作品でウップンが晴れるはず。
冒頭の宇宙空間でのアクション描写からして、「ありえなさ」に力技で説得力をもたせるアプローチが効果的。ムキムキ筋肉のロック様が動物学者という強引な設定に違和感をおぼえるヒマもない。監督は前作『カリフォルニア・ダウン』で、日本人にとっては不謹慎に感じる地震災害の描写も盛り込んだが、今作のような完全に作り物の世界では、ブラックな演出も素直に笑いに直結。爽快この上ない。