シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション (2019):映画短評
シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション (2019)ライター6人の平均評価: 3.7
90’sテイストだからってパメラ・アンダースン出しますか。
いや、ちょっとナメてました。「ヒャッハー!」シリーズ(って日本で勝手につけて名付けてるだけだが)の才人フィリップ・ラショーがいつものように監督・脚本・主演してるだけあり、まぁこのネタだからギャグはほぼすべてシモ絡みなんだけど、それも含めて原作へのリスペクトは最大級、彼のルックスも手伝ってスマートな仕上がり。往年のJ-P.ベルモンド冒険映画を思わせるノリもあるし、キャメラワークも冴えている。POVで目の前のドタバタを傍観者的に捉えるシーンなんて大したものよ。メイン・キャストだけ日本名(フランスでの冴羽獠はニッキー・ラーソンというらしい)という吹替も別に違和感なし。山寺宏一もさすがに巧いしね。
原作への愛が溢れている
ジャンプの原作を海外で映画化。『〇〇ボール』とか『〇〇の拳』とか映画史に残る黒歴史としか言いようありませんでした。
そんな中で、フランスから『シティーハンター』の実写化のニュースが。果たしてどうなることかと思いましたが、原作者の北条司が納得したというだけあって、原作への愛情に溢れた痛快な作品に仕上がっていました。
『シティーハンター』とは何たるかをこれだけ見事に把握して映画に仕上げて見せました。
今年は『シティーハンター』の映画が二本も見られるというファンにはたまらない年になりました。
オリジナルを知らずとも楽しめる奇跡の実写版!
昔から日本のアニメが絶大な人気を誇るフランスで制作された、まさかの『シティーハンター』実写版。演じているのはフランス人俳優ばかりだが、まるで違和感のない再現ぶりは予告編を見ての通りだ。実際の本編も、さすがに現在ではNG必至のセクハラ描写こそ抑え気味ではあるものの、それ以外はオリジナルのHでおバカな路線はそのまま、あのパメラ・アンダーソンまでゲストに担ぎ出したお色気シーンも盛りだくさんだ。文字通りアニメのノリを完全実写化したスラップスティックなビジュアル・ギャグは最高で、オリジナルにあまり馴染みのない観客でも存分に楽しめる。『ラ・ブーム2』のテーマ曲などBGMの選曲センスも素敵です。
オリジナル・アニメへの敬意と愛がいっぱい
フランス人による日本の80年代の同名アニメの実写映画化、となれば、パロディみたいなトンデモ系の作品なのかと思ったら、まったくそんなことはなく、原作アニメに敬意を持ってそのまま実写化しようとする、そういう意味ではものすごく真面目な作品。オリジナル・アニメはうろ覚えな目で見ても、キャラの雰囲気も、お笑いのバカバカしさも、子供っぽい下ネタ系ギャグのテイストも、オリジナルアニメへの愛がたっぷり感じられるもの。その敬愛のせいか、映画が安っぽくない。ストーリーもVFXも手を抜いてない。"ホレ薬"がモチーフだったりするところが、フランス製艶笑小咄っぽい雰囲気もあり、そこがこの実写版の持ち味かも。
おフランスのフィルターが奇跡を起こす!
“ホレ薬”という古典すぎるネタを使い、「シティーハンター」の世界観を描く。一見無謀なリメイクに見えるが、これが笑えるぐらいに、どハマり! ギャグとアクションのバランスは初期『TAXi』シリーズのようだが、原作に対するリスペクトがスゴい。さらに『ヒャッハー』シリーズの仲間とわちゃわちゃするだけでなく、セックスシンボルなセレブにパメラ・アンダーソンを、用心棒にジェロム・レ・バンナをキャスティング! 時にやりすぎ&時代錯誤なえちえちネタも、フランス映画のフィルターがかかることで、OKに見えるマジックも。卑怯…いや絶妙すぎる日本語吹替&エンディングも手伝って、数年後に深夜のテレビで再会したくなる一本。
トレビアン(いいじゃん)!(笑)
噂通り快作! 確かにP・ラショーの原作愛はリアルガチだ。低モラルコメディ『世界の果てまでヒャッハー!』の人ゆえ、93年のジャッキー版よりさらにB級志向ながらツボの押さえ方は十全。ビジネスライクな監督がやると浅いトレース感が露骨に出て窮屈になりがちだが、深い理解があるからこそ演出は自由にのびのび。作り手のヒャッハー!な楽しさが伝わり実際面白い。
冴羽リョウやカオリにはファン各々が理想のイメージを持っていると思うが、これは多くの人がアリの判子を押すのでは。80年代の日本と今の日本はもはや別の国ってとこがあるし、原作人気も凄いフランスでの実写化が最も幸福&正解かも。そのうえラストには「あの曲」が!