ゾンビランド:ダブルタップ (2019):映画短評
ゾンビランド:ダブルタップ (2019)ライター6人の平均評価: 3.5
変わらなさが魅力のおバカなゾンビ・サバイバル第2弾!
この間にテレビシリーズ版がポシャったものの、10年ぶりにオリジナル・キャストが再集結した『ゾンビランド』の続編。今回は大人になったリトルロックの自立を巡る疑似ファミリーの絆がテーマとなるわけだが、おバカなギャグ満載の能天気でゆるーいノリは相変わらず。まるで年を取らないジェシー・アイゼンバーグを含め、このいい意味での「変わらなさ」が魅力だ。『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ウォーキング・デッド』へのオマージュ、ラストに登場するサプライズ・ゲストなど、クスリと笑えるネタにも事欠かない。新キャラではゾーイ・ドゥイッチ演じるお気楽ギャルの底抜けな天然ぶりが最高だ。
もっとシリーズを! そう望みたくなる快作
10年ぶりの続編だが前作の顔ぶれの再結集はもちろん、コミカルなノリはそのままであることがファンには嬉しい。
前作時はまだ子役だったA・ブレスリンの成長を踏まえ、その自立の欲求をドラマに反映。疑似家族の絆で結ばれていた4人組のドタバタは、それによって加速する。コメディが大好きな監督は『ホリデーロード4000キロ』を参考にしたというが、ロードムービーの面白さからもそれがうかがえる。
ゾンビのカースト化や新種ゾンビ(その名もT-800!)の登場にトボケた新キャラも加わって、お笑い面は抜かりなし。アクション面の増強が個人的には面白く、4人の連携の妙には目を見張った。パート3にも期待したい。
ヒット作の続編は難しいけど、荒技で大逆転
ゾンビが徘徊する世界をサバイブした4人組のその後で、新たな生存者も登場。ただし基本設定はほぼ同じで、成功の方程式を変える必要なしということだろう。進化したゾンビやマリファナ好き平和主義ヒッピーの命名、コロンバスとウィチタの関係を危うくさせるノー天気女のパリス・ヒルトン的な言動でニヤリとさせる。エマ・ストーンがオスカー女優となっても偉ぶらずに、こういう映画に出演するのがファンとしてはうれしい限り。きっと性格がいいのだ! 一方、不要と思われるシーンや登場人物もいて、ヒット作の続編製作の難しさがのぞく。R・フライシャー監督もそれを感じたのかもしれず、意外なカメオという荒技で大逆転! これには参った!
10年を感じさせない「ホーム」に戻ってきた快感
日本では公開すら危ぶまれた1作目で取材したとき、オーラ皆無だったジェシーやエマのその後の大化けは予想できなかったが、こうして10年ぶりに戻っても演技のノリやチーム連携がまったく変わってないところに感動。久しぶりのアビゲイルちゃんのみ激変が、これまた愛おしい。
この10年の「ウォーキング・デッド」『新感染ファイナル・エクスプレス』などの勢いで、ゾンビ描写は今更な感もあるし、新たに加わる全身ピンクの“ギャル”など正直、使い古されたギャグの役割を果たすが、それらユルい面を大らかに受け止めさせ、素直に楽しませる「余裕」は満点。10年後の再結成を重ねると、ラストのセリフにも妙に心をくすぐられるのだ。
同窓会&ファンサービス映画としては最上級!
観ていて心配になるほどユルユルな展開と、日本語訳の難しさもあって、そこまで笑えないルール説明も相変わらずだが、10年ぶりの同窓会&ファンサービス映画としては最上級の仕上がり! とにかく三十路になったエマ・ストーンの貫禄がハンパない。また、このタイミングでの『ターミネーター2』ネタは胸アツだし、定番のエルヴィスネタや幻の『ガーフィールド3』ネタで引っ張る感も悪くない。独り立ちしたい(つか、男が欲しい)設定も含め、妙にリアルなアビゲイル・ブレスリンの劣化っぷりは残念すぎるが、そこは金髪アーパー娘を怪演するリー・トンプソンの愛娘、ゾーイ・ドゥイッチがしっかり魅せてくれる!
10年経ってもいい意味で変わらない!期待通りの続編
これはもう、企画だけでニヤニヤもんでしょ。内容からして続編を作らなくちゃいけないような作品じゃないってのに、続編が完成。それも10年ぶり。その間に主要キャストたちはオスカー女優になったりノミネートされたり、監督はアメコミ映画のヒット監督になったりしてて、キャリア的には全く必要ないのに全員が再結集。その理由はもう、この映画に参加するのが楽しいからとしか思えない。いい意味で肩の力が抜けた楽しさは、そのせいだろう。さらに「ウォーキング・デッド」ファン向けのオマケあり。原作コミックが本編に登場してネタになり、TVシリーズの場面とよく似てるけどかなり違う光景が何度か出て来て、ニヤリとさせてくれるのだ。