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ハスラーズ (2019):映画短評

ハスラーズ (2019)

2020年2月7日公開 110分

ハスラーズ
(C) 2019 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.9

山縣みどり

JLoのダイナマイト・ボディと姐さんぶりに目が釘付け

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

女を性オモチャ扱いするウォール街の男どもに鉄槌を食らわせた女性の実話で、快哉を叫ぶか否かは見る側のモラル次第。でもジェニファー・ロペス演じる人気ストリッパーがやばい女たちをまとめ、鮮やかな手口でリッチマンをカモる過程の撮り方は『オーシャンズ』シリーズばりにスリリングで魅力的。巨尻ブームを牽引したJLo が惜しげもなく披露する、50歳とは思えないダイナマイト・ボディもまさに圧巻。C・ウー演じる新米ストリッパーを交えた同僚との擬似家族のような関係性も女性ならば共感必至だろう。大胆に脱いだ元ストリッパーのカルディBとボディ・ポジティブの見本でもあるリゾは、もっと見せ場があってもよかったかな。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

資本主義とジェンダーの不平等は男も女も不幸にする

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 女性が自立して生きていこうにも、様々な厳しい現実が立ちはだかる世の中。真面目に働けど生活は楽にならず。そこで、それぞれ事情あってストリッパーとなった女性たちが一致団結し、ウォール街のエリート男性たちを騙して大金を巻き上げるも、次第に善悪の感覚が麻痺して自滅の道を歩む。アメリカで実際に起きた美人局事件を下敷きに、米国型資本主義とジェンダーの不平等をフェミニズム的な視点で痛烈に風刺したブラック・コメディ。女性が不利な立場に置かれて性的に搾取される社会では、男性もまた富と権力だけで評価され、理不尽な犠牲を強いられることが描かれる。もちろん、J.Loの超絶ストリップダンスも必見だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

もっとしなやかに もっとしたたかに

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『バーレスク』『ショーガール』のような、スポ根系“夜のお仕事映画”として幕を開け、“姉御”とともに、コンスタンス・ウー演じる中国系ヒロインが成り上がっていく様は、まさに痛快!ストリッパー通りだ。しかも、同僚役でラッパーのカーディ・Bやリゾが登場し、ジャネット・ジャクソンの楽曲がキーワードに。中盤以降は、『オーシャンズ』シリーズ的なケイパー・ムービーへ転調。とはいえ、ガチな犯罪のため、彼女たちに感情移入できるか否かで、評価は大きく変わるだろう。ちなみに、 “姉御”を演じるジェニファー・ロペスは、『アウト・オブ・サイト』超の圧倒的な存在感と爆弾ボディで、これぞ代表作といえる。

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斉藤 博昭

じつはこの映画、2020年の、ひとつのブームを牽引してる?

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

この映画、2020年のあるブームの先駆けになったと言ってもいい。それは「女性監督」ブームで、この後に続く『チャーリーズ・エンジェル』や、ハーレイ・クインの新作などと同じく、女性監督の下、女性キャラたちが「団結」。男性キャラは徹底的にサブ扱いなのが共通。ある意味で潔く、清々しいばかり。今作でストリッパーたちが男たちを騙す設定も、モラルや正義の点で腹立たしく感じる側面はわずか。それ以上に、ハードボイルド的な悪の香りに魅了される。犯罪の痛快さとシビアな現実の微妙なブレンド感に導く作品。ジェニファー・ロペスがオスカーノミネートを逃したのを残念がる声も聞くが、役自体が強烈なだけで演技は想定内か。

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森 直人

祭りのあとも人生は続く

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

「2007年は最高の年だった」――アッシャー登場を絶頂点としたリーマンショックを分割線とするウォール街物語。これはA・マッケイ(本作製作)の『マネー・ショート』の姉妹編とも位置づけられるだろう。放電度の高い映画だが、一番インパクトがあったのはジェニファー・ロペスがOLD NAVYで働いている姿!

出だしだけ取ると『素顔のままで』か『ショーガール』か、ブラッカイマー映画のワンシーンのようだが、中身はショーン・ベイカー監督の世界にも通じる女性の連帯劇で、『SEX AND THE CITY』が遠い昔に思えるサバイバルドラマ。監督のL・スカファリアは傑作『エンド・オブ・ザ・ワールド』(12年)の人。

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相馬 学

女性映画だが硬派、そして痛快、かつ深い!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 主要キャラは女性のみだが、肩ひじを張らずに”硬派”な物語が成立する。それを証明してみせたのが、このクライム・ストーリー。

 ドラッグを使った悪質な犯罪も、見下されて稼ぐストリッパーたちの立場を思えば、逆襲の武器として理解できる。何より社会的弱者の目線に立っている点ので、ハメられる“強者”側=エリート男性の弱点を突いてくる点が面白い。

 こんな映画を見ると、世の中はまだ男性優位社会で、そこにどんな問題点があるのかが見えてくる。当然、現代の女性も黙ってはない。逆襲する彼女たちに言い訳を許さないのが正常な社会だが、そこには程遠い。そんな現実に対してノーを突き付けるのが本作の“硬派”の本質だ。

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猿渡 由紀

女性監督の力が生きる、女の友情物語

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

ストリッパーがウォール街のリッチな男たちから金を騙しとった話と聞いて、野次馬心をそそられる人は多いはず。そのストリッパーのひとりを、セクシーボディを売りにしてきたジェニファー・ロペスが演じ、しかもダンスシーンがしっかりあるとなると、なおさらだろう。だが、実はこれ、何よりもまず、女の友情物語。さらに、社会の格差、ずるいことをして儲けているエリートたちが罰せられないという不平等などにも触れられる。もちろん彼女らの行動は犯罪で、悪いことなのだけれども、妙な高揚感と共感をもたせてしまうところがうまい。これを作ったのが男性監督だったら、おそらくこの微妙なバランスを達成するのは難しかったのでは。

この短評にはネタバレを含んでいます
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