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AIR/エア (2023):映画短評

AIR/エア (2023)

2023年4月7日公開 112分

AIR/エア
(C) AMAZON CONTENT SERVICES LLC

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

大山くまお

主人公の「誠意」と「人間観」が勝負の決め手

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

ナイキはいかにマイケル・ジョーダンを永遠のスポーツアイコンにしていったのか。エアジョーダン誕生秘話を描く、実話をもとにしたビジネスストーリー。アッパーで派手な場面が続くわけではなく、顔芸しながら激論するわけでもなければ、誰かの陰謀を阻止する話でもない。ひたすら中年男たちによる交渉が描かれるだけでなのに、グイグイ持っていかれる。中堅企業によるジャイアントキリングも爽快だけれど、肝にあるのが主人公の誠意と人間観とまったく新しいビジネスモデルというのがいい。マット・デイモンとベン・アフレックはいい年の取り方をしている。もちろん80年代カルチャー好きな人にもおすすめ。

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猿渡 由紀

幼なじみの久々の共演作は娯楽性たっぷり

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

テンポが良く、エネルギーとユーモアに溢れる娯楽作。資本主義における企業の競争の話だが、客観的に見て勝ち目のない者が大物を打ち負かすという意味では、スポーツドラマ的でもある。そのアンダードッグを好感度たっぷりのマット・デイモンが演じるので、つい応援してしまう。畳みかけるようなセリフのやりとりでぐいぐいとストーリーを引っ張ったかと思ったら、クライマックスのデイモンによるシリアスで誠意ある長いセリフでどんとインパクトを与えるのもうまい。もっとも、ナイキのCMみたいという皮肉な見方もできなくはないが。私生活で夫婦のヴィオラ・デイヴィスとジュリアス・テノンが夫婦を演じるのもナイス。

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森 直人

新たな「価値」を創出するゲームチェンジャー賛歌

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『スラムダンク』の流川楓は「5」、桜木花道は「6」さらに「1」。そんなエアジョーダンの誕生秘話に迫る1984年の実話。ナイキ本社に勤めるひとりのおっさん――“運動嫌いの太った中年白人”、ソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)は、いかにして稀代のシグネチャーモデルを開発したのか?

アディダス信者だったマイケル・ジョーダンをいかに振り向かせるか。Netflix『ラストダンス』でも触れられた有名な件をビジネス啓蒙的視座で描いた快作。ジョーダンの母親デロリス(ヴィオラ・デイヴィス)の傑物ぶりが印象的だ。「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」(当然にも84年曲)は“歌詞を誤解してた、それでも”的な使い方!

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平沢 薫

開拓者たちのドラマが痛快

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 タイトルは、本作中で誕生するシューズの名称"エア ジョーダン"から取られているが、もともとの単語の意味の"空気"や"雰囲気"のことでもあるのではないか。そう思わせるほど、冒頭から80年代当時のニュース映像や当時のポップ音楽、映像の色調が、あの時代のイケイケでノリノリな、と死語を連発したくなる雰囲気を甦らせる。この空気の中で描かれるので、マット・デイモン演じる主人公の情熱に周囲が引き込まれていくさまも、各自が従来の慣習を破って開拓者になるという物語も、ストレートに胸に響く。
 そうしたドラマの中に、靴作りの現場でひたすら至高の作品を目指す、オタク気質の人物も描いているところも魅力的。

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村松 健太郎

お仕事映画の秀作がまた一本

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

すっかり創り手として信頼度を高めたベン・アフレックの監督作品であり、実話系作品で安定感抜群のマット・デイモン主演というだけでも期待値が高まるのですが、映画はその期待に応える秀作でした。映画や音楽、人物の挿入で一気に80年代に引き込む冒頭から、最後までいいテンポで話が進みます。一発逆転が痛快なお仕事映画の一本としても楽しめます。また、なんと言ってもこのテーマでありながらマイケル・ジョーダンの描き方の塩梅も非常に良かったと思います
NBA、バスケットシューズのファンはもちろん『スラムダンク』を見てバスケ熱が高まった方なら必見の一本でしょう。

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斉藤 博昭

結末は分かってるのに、やっぱり最後は感動してしまう映画の力

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

NIKEエアジョーダン誕生の舞台裏を描く。つまり結末は分かってる。この手のサクセスストーリーらしい展開でもある。なのに過剰に感動してしまうのは、逆境を覆すアイデアと執着、相手を説得する機転など、ポイントとなるシーンが真摯に描かれているから。まさにJust Do Itの精神。
前半は当時のスター選手の名前もポンポンとび出す会話の応酬で、ついて行くのがやや大変だが、多少スルーしても中盤からの劇的な流れにスムーズに乗っていけるので心配不要。
映画ファンは役の関係に、ベンとマットの友情&創造の共同作業史を重ね、しみじみ幸せ気分になるはず。
舞台は1984年。次々流れる当時のヒット曲もテンション上げる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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