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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ (2024):映画短評

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ (2024)

2024年10月11日公開 138分

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
(C) & TM DC (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.1

森 直人

自らの責任を取る――極めて真面目なセルフアンサー

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『フィールズ・グッド・マン』が扱った凶悪なインターネット・ミーム化したカエルのペペ――。それに近い程、T・フィリップス監督にとって前作『ジョーカー』が引き起こした現象は想定外の域だったのか。社会に抑圧された者の怒りや悲しみから、テロルの回路を無邪気に開いてしまう「隙」。その事態を重く見た彼は自分達が生んだ漆黒の神話を破壊する裏返しの続編を放った。

基本はジュークボックス・ミュージカルだが、同時に前作と対の形に設計されているのがよく判る。“My Shadow”の側を体現するレディー・ガガも良し。そしてジョーカーが生んだものをアーサーという無垢な人間の側に戻していくホアキンの演技がやはり圧巻だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

DCを遠く離れたからこそたどり着いたカリスマの極北

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 前作のスコセッシ風アメリカンニューシネマのテイストを踏襲しながら、状況をさらに重くダークに突き詰める。これは確かに賛否を呼びそうだが、個人的には賛に一票。

 何しろ舞台はほぼ刑務所と法廷のみ。前作で提示されたアーサーの妄想癖はヒロインとのミュージカルにまで発展するが、その華やかさが、悲惨さを増すアーサーの現実と対をなしているのがイイ。

 いたたまれないほど落ちていくアーサーをさらに落とす、そういう意味では正しいT・フィリップス版ジョーカーの続編。ここではDCワールドのカリスマ的ジョーカー観を忘れるべきだ。

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くれい響

“塀の中の『ラ・ラ・ランド』”が行き着く先は?

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

シルヴァン・ショメらしいデフォルトされた冒頭のアニメで、ただでさえ高かった期待がブチ上がり、謎の女・リーとの出会ったことで“塀の中の『ラ・ラ・ランド』”へ突入する! 前作の世界観はそのまま、法廷劇としての一面も見せるが、いかんせん刑務所と法廷、ときどき妄想の歌唱シーンが繰り返されるだけで、これといってショッキングな描写もなし。肝心のホアキン・フェニックスの芝居も想定内かつ、前作より尺を16分長くしたこともあり、どこか単調に思えてしまう。そして、前作における「世界的熱狂」に対するトッド・フィリップス監督なりの回答……。ただ、これだけ期待値を上げてくれたことに、★おまけ。

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猿渡 由紀

意欲と野心たっぷり。ふたりの組み合わせは面白い

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

トッド・フィリップス監督の意欲と野心は伝わってくるし、ホアキン・フェニックスも前作同様、全力投球。フェニックスとレディ・ガガの組み合わせは面白く、ビジュアルも良い。しかし、前作は話が進む中でアーサーについてどんどんわかっていったのに対し、今回は何も新しいことが出てこない。話そのものが薄く、音楽によってたびたび中断されるため(ミュージカルは歌が話を先に進めるものなのだが、これはそうではない。もちろんフィリップスに正統派のミュージカルにするつもりはなかったのは理解している)引き伸ばされている感じ。ラストはショッキングながら、観る人によって解釈が分かれた前作のすばらしいラストにはかなわない。

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平沢 薫

アーサーの物語であり、ジョーカーの物語でもある

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アーサーがジョーカーの存在に驚いたように、トッド・フィリップス監督は前作『ジョーカー』の反響に驚いたのではないか。そこで付けたくなった注釈が本作だとすると、納得がいく。すべてが、前作にすでにあったものから派生しているが、前作を損なうことはない。アーサーの物語でもあるが、彼とは別にさらに一人歩きをしていくジョーカーの物語にもなっている。

 音楽と舞踏は今回も雄弁。アーサーの抱く想いは、前作の踊りのようなものから派生して、スタンダードソングを歌って踊る古典ミュージカル風情景となって何度も出現し、そのたびに古風なロマンチシズムで魅了する。エンドロールの最後に流れる曲も胸を打つ。

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村松 健太郎

賛否あることが続編としての意味があることに

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

なんと言ってもあの『ジョーカー』の続編です。それだけで一朝一夕でできる映画ではないことはわかっていました。結果として歌と狂気の愛に包まれたサスペンスとなりました。映画に関してはすでにプレミア上映などを経て賛否が真っ二つ割れているようですが、個人的にも賛否の感想が同時に芽生える映画となっていました。ただ『ジョーカー』の続編としてはこの賛否の割れ方は正しい在り方かとも思いました。もっと万人受けする続編も作れたかもしれませんが、それが後年になって支持を得続けられるのかと考えると、それは難しいかもしれません。『ジョーカー』の続編としてはこのぐらい振り切るのが正解なのかと感じました。

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斉藤 博昭

ミュージカルとして傑作。それ以上でもそれ以下でもない

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

「前作と同じものにしない」というT・フィリップスの意気込みがみなぎる作り。基本的にジョーカーの妄想=非現実シーンがミュージカルに切り替わるのは『シカゴ』など数々の名作と同じスタイル。そこから現実シーンに歌が波及するのも自然。使われる曲もベタでクラシカルなナンバーが多いのだが、ストーリー、心情と歌詞の美しいシンクロに最後まで魅了された。まさにザッツ・エンターテインメント!
ドラマは異常なほどシンプル。そして前作に比べてショッキングな展開や描写が限定的のため肩透かしを食らう人も多いかも…だが、それゆえ奥底への探究心も募る。
ホアキンは、ただ転倒する瞬間など要所の信じがたい“芸”でまたも驚嘆させる。

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