ADVERTISEMENT

007 スペクター (2015):映画短評

007 スペクター (2015)

2015年12月4日公開 148分

007 スペクター
SPECTRE (C) 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved

ライター9人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

中山 治美

メンデスなりに007のお約束を入れてみました!って感じ

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

 S・メンデス監督なりに奮闘したのだと思う。
しかし列車シーンは前作「スカイフォール」のデジャブ、2度も登場するテムズ川ロケはロンドン五輪のベッカムか⁉︎  どのアクションも既視感バリバリ。本作を見ながら、常に新たなアクションに挑んでファンを楽しませてくれるT・クルーズ株が一気に上昇だ。
 ボンドガールの扱いも雑。M・ベルッチのシーンなんて、やっつけ感さえ漂う。ファンが期待する007お約束のシーンには興味はないのだろう。
 前作のMの最期同様、今回もMI6メンバーとの些細なやり取りのシーンの方が俄然、物語が躍動する。英国らしい皮肉の効いたセリフも抜群。監督には向き不向きがあるってことで。

この短評にはネタバレを含んでいます
ミルクマン斉藤

それにしてもサム・メンデス、爆破フェチだね。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

冒頭のかなり壮大な長回し移動シーン(サウンドデザインも完璧)から「女に強いボンド」色を打ち出して、そういう意味ではコネリー版への回帰。しかし徐々に『女王陛下の007』的恋愛要素が大きくなり(レア・セドゥがノーブルかつエロくてイイ)、極めつけはブロフェルドの登場だ。C.ヴァルツ演じる宿敵像は『オースティン・パワーズ』がパロったようなあからさまなものでなく“判る人は判る”的アプローチでそれもまた良し。ただちょいと場所移動が多く話の繋がりがスムーズでないし、H.ヴァン・ホイテマの色調を抑えた撮影は彼らしいが如何せん地味。前作『スカイフォール』の完成度には及ばぬものの、ファンが楽しめぬことは全くない。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

シリアス路線を見直す時期に来たのかも?

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ダニエル・クレイグ版ボンド4作目となるシリーズ第24弾。今回は秘密組織スペクターとボンドの宿命的な戦いの始まりが描かれる。
 メキシコを舞台にド派手なアクションの展開するオープニングは絶好調。崩れ落ちるビルからの脱出劇や、大群衆の頭上を駆け巡るヘリコプター内での肉弾戦はなかなかの迫力だ。これは『スカイフォール』に続いてまたもや当たりか…?と高まる期待も虚しく、その後は一向に盛り上がらず。なんというか、拍子抜けするくらい地味なのだ。
 ボンドガールのレア・セドゥにも華がなく、存在感では10分程度しか出番のないモニカ・ベルッチに完敗。そろそろシリアス路線も限界なのでは?と思わせられる。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

英国代表として、第二の全盛期へ

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

まさに貫禄。ビートルズのデビューと同じ62年に始まった映画『007』が再び絶頂を迎えている。

D・クレイグ時代に入ってからは伝統と時代の間で、一作ごとに「007とは何か?」との問いかけがあった。実質リブートの『カジノ・ロワイヤル』、ジェイソン・ボーン・コンプレックスが露骨に出た『慰めの報酬』。そしてS・メンデスの作家性をぶつけて止揚した『スカイフォール』の重要な達成。

そこから「円環」的に初期色へと接続させたのが今作で、アイデンティティの問題を延長しつつ再構築。クレイグのボンドは完成形に達した。英国代表にふさわしく主題歌も前作がアデル、今作がサム・スミス。『007』に時代も味方したのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

男子の妄想でぱんぱんに膨らんだ冒険活劇

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

死者の祭中のメキシコで007が悪人と戦う冒頭は素晴らしい。「何事?」と思わせ、ヘリコプターのバレルターンなんて荒技に大興奮。でも残念ながら、そこまで。巨悪と007の過去のからみを入れたせいで世界の危機が私怨レベルに引きずり下ろされたし、クリストフ・ヴァルツ演じる悪人のカッコウの卵理論なんて「それじゃ殺す人が違うだろう」と突っ込みたくなる。メイクセンスしなさすぎ。実は007史上最高に突っ込みどころ満載かも。もちろん喪服の未亡人をコマし、拷問やビル爆破にもビクともしない驚不死身っぷりの発揮が007の本随だし、男子の妄想の実現だなと思うのみ。それにしても旧態依然としたマチズモだな〜。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

犯罪組織と秘密兵器の復活!ベストアルバム構成で挑む活劇の王道

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 前作がMとの関係を描く母子篇ならば、今作は出自と向き合う父子篇。「ボンド家族」二部作の趣に、クレイグ=ボンド作品を束ねる結節点も用意した。初期の犯罪組織の復活、めっぽう強い殺し屋の出現、Qの発明による秘密兵器の活躍。感傷的で厳かな前作とは打って変わって大らかなアクションの王道を目指すが、その反面シリアスな物語の追求は宙ぶらりんになり、ドラマ作家サム・メンデス演出はバランスを失う。セルフ・オマージュとしてシリーズ名場面を散りばめたベスト・アルバム的な構成は、これぞボンド映画と称える往年の快楽主義者を喜ばせるが、団子の串刺し感は否めない。変革に挑んだ『スカイフォール』の輝きがより増してきた。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

クレイグ版のノリを望むべからず!? とにかく王道を見よ!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『007』に何を求めるか? それによって評価は違ってくるが、かなりきわどい線を狙ってきたなあというのが正直なところ。

 クレイグ版ボンドにこだわれば、その特色であるリアリティが抜け落ちたのはどうか。とりわけラブストーリーは『カジノ・ロワイヤル』の緻密さと比べると見劣る。“スペクター”も荒唐無稽とは言わないまでも、現実味に欠けるのは否めない。

 しかしシリーズを俯瞰して見るぶんには十分にアリだ。ゴージャスなアクションはシリーズの水準に達しているし、ショーン・コネリー期へのオマージュ満載にもニヤリとさせられる。正月映画としての『007』は、そういえばこういうノリだったなあと、ふと思い出した。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ウィショーに加えて、バティスタ萌え!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「死者の日」を舞台にした前作以上にヘリの使い方が巧いオープニングは圧巻。だが、前作『スカイフォール』の壁は厚かったか、スペクターを扱うことで気合いが入りすぎたか、前作より5分増の148分の長尺に問題アリ。久々なWボンドガールの扱いも、雪山シーンも、肩透かしを喰らった感強し。しかも、『96時間』『アンノウン』と同じ殺陣師ゆえにボンドがリーアム・ニーソンに、やりすぎな爆破シーンゆえに『エクスペンダブルズ』に見えてしまうのはいかがなものか。そんななか、しっかりツボを押さえているのは、Qと殺し屋役のデビッド・バウティスタの扱い。総合的に、前作越えは厳しかった『ダークナイト ライジング』感は否めない。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

新鮮さと伝統の間のバランスが見もの

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 バランスが絶妙。前作「スカイフォール」に続いて本作の監督を務めるサム・メンデスは、前作で"ダニエル・クレイグ主演作からの新たな007スタイル"を変化させ、従来の007スタイルに寄せていき、喝采を浴びた。本作の監督が彼にオファーされたのは、その変更路線を推進するためだが、そこでポイントになるのは、新スタイルと従来のスタイルの間の、どこを着地点にするか。そのために、どの部分の新スタイルを推進し、どの部分を従来のスタイルに戻すか、だ。その観点で本作を見ると、2つの方向性の配分がスリリング。オープニング映像や会話は従来スタイルで、悪役たちのキャラクター造形は新スタイル。そのバランス感覚が見もの。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT