チャイルド・プレイ (2019):映画短評
チャイルド・プレイ (2019)ライター6人の平均評価: 3.7
ブードゥーの呪いより怖い、ハイテク!
購買意欲をそそらないブチャイクな外見はオリジナル同様だが、今度のチャッキーはアレクサやSiriのような人工知能搭載が魅力。電気を消し、ウーバーを呼ぶだけじゃなく、持ち主アンディのデータに瞬時にアクセス。さらには学習機能もあるので、アンディの気持ちを忖度!? でも自殺した労働者の怨念というバグが生じていて、愛する親友アンディを守るために暴れる、暴れる。ハイテク、怖いよ〜。芝刈り機やナイフ搭載ドローン攻撃の派手さ、スプラッター好きにはたまらない出血量なり。15歳未満は見られないと思うが、親の目が行き届かないところでホラー映画を見たり、暴力的なゲームをする子供は自戒しなくてはね。
21世紀版チャッキーはハイテク機能をフル稼働!
熱狂的ファンの多いカルトなホラー映画のリメイクゆえ賛否あるとは思うものの、現代版アップデートとしてこれは全然アリだろう。平凡な人形に殺人鬼の魂が乗り移るオリジナルとは一変、こちらのチャッキーは持ち主の「親友」となるようプログラムされた学習能力付きのハイテク人形。ところが、倫理や道徳を理解できないことから、お友達としての使命を果たすうえで邪魔な人間を容赦なく始末していく。いわばITの暴走だ。コネクト機能を駆使して他の玩具や家電と繋がれるってのがミソで、遂には玩具軍団による大量虐殺の大パニックへ展開。ブラックユーモアの効いたゴア描写もバッチリで、オリジナルとは違うタイプの恐怖を味わえる。
まったく新しい物語が始まる
まったく新しい物語なので、オリジナル作を知らなくても大丈夫。オリジナル作のチャッキーは、子供番組のキャラクター人形に死んだ殺人犯の魂が宿った存在で、外見は人形だが中身は人間だった。が、今回のチャッキーは人形。ただしクラウドで繋がってスマート家電を操作する機能を持ち、人工知能搭載らしく経験によって学習する。そんな人形が、ある少年の所有物になり、その少年とずっと一緒にいたくて彼を喜ばそうとするのだが、事態は次第にとんでもない方向に転がっていってしまう。残虐描写はかなり過激。TV「レギオン」のオーブリー・プラザ演じる現代的母親像も魅力的。誰かと友だちになりたい人形の悲しさ、切なさが胸に残る。
スマート家電化したロボ・チャッキー
某大統領に寄せようとしたのか、チャッキーのヴィジュアルがヤバいことになってるが、スマホでプログラミングできるという、介護向け人形のその先を行くスマート家電化設定はお見事! 主人公・アンディのルックなど、『E.T.』から「ストレンジャー・シングス」へと至る流行りのジュブナイルSF要素を強めながら、殺人マシーンとして覚醒する理由が『悪魔のいけにえ2』(1ではない!)など、ツボは決してハズさない。マーク・ハミルが吹き替える意味合いも、『ブリグズビー・ベア』の流れを踏まえているうえ、「それ、続編でいいじゃん!」というクライマックスの展開など、出し惜しみしないサービス精神もあり、好感度高し!
感情のドラマも面白くなって、アップデート成功!
呪術によって殺人鬼の魂が人形に宿るオリジナル版のオカルト設定をご破算にし、テクノロジーに殺人人形誕生の可能性を求める試み。個人的にはウェルカムで、ワクワクしながら見た。
アプリ制御でネットへのアクセスは自在。AIによる学習能力をも備え、子どもたちが『悪魔のいけにえ』を見て喜んでいるのを目にして、同じことをしようとする辺のブラックユーモアがサエる。惨殺描写は言うまでもなくスリリングで、量販店での殺りくが展開するクライマックスには度肝を抜かれた。
アンディ少年の孤独に加え、チャッキーにも感情のようなものが見え隠れし、意外にもエモーショナルな展開。この”アップデート”は大成功だ。
不気味で笑えてテンポ良し!ホラー映画は、こうあるべき
人形に魂がのりうつるという、ありえない設定のオリジナル版とはうって変わり、人工知能が搭載され、アプリで操作できるチャッキーの暴走は、リアリティ十分。まぁこうなると人形ではなく「最新型ロボット」とも言えるのだが…。
通常、こうしてアップデートされたホラーは現代的すぎて「風情」が失われがち。しかし今作は、随所のアナログ的アプローチ、70〜80年代ホラーを彷彿とさせる強引で根源的ショッキング描写で、その不安は瞬時に解消される。チャッキーの動く表情も過剰さは回避。何より笑えるシーンのタイミングが絶妙なので、不気味とユーモアの波状攻撃で、一瞬たりとも飽きさせないサービス精神に爽快感すら味わえる。