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グッバイ、リチャード! (2018):映画短評

グッバイ、リチャード! (2018)

2020年8月21日公開 91分

グッバイ、リチャード!
(C) 2018 RSG Financing and Distribution, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

とにかくジョニー・デップが素晴らしい!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 末期癌で余命宣告をされた大学教授が、自らの死を目前にして綺麗事と偽善だらけの生活はもうやめにしようと決意。周囲の家族や友人、学生たちととことんまで本音で向き合い、せめて人生の最後だけは正直な人間として生きようとする。まあ、それにしてもあなた正直過ぎやしませんか!?と言いたくなる自由奔放ぶり…もといやりたい放題に驚くが、ここまで突き抜けてくれるとむしろ清々しいし、なにより混沌の中から真理を見出そうともがく中年インテリ男の強さと弱さ、真心と皮肉を人間味たっぷり演じるジョニー・デップが見事!間違いなく近年最大の当たり役だ。ユーモアとペーソスを交えた演出も心に滲みる。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

こじらせ人生でも避けられない、”死”をどう受け止める?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 やたらと“F××k!”と連呼する主人公の気持ちにシンクロしたのは筆者もそういう年齢だからか!? これは他人事ではない。

 妻とは不仲、仕事(=講義)は退屈、上司(=学長)は最悪、そのうえ余命宣告を受けて、余生を開き直りと悪戦苦闘で過ごす主人公。ユーモアで死の影を抑え、なおかつ現実を見据えた点が巧い。自分なら、どうする?そんなことを考えつつ一気に見た。

 思えばJ・デップは反逆児を好んで演じてきたが、『ラスベガスをやっつけろ』『シークレットウィンドウ』等のキャラがそのまま歳をとったような錯覚も。「善く生きる。善く死ぬために」――そんなセリフも彼が言うと重みを増す。こじらせ中年は必見!?

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

作品としてどうこう…と言う以前に、ジョニーにやられた感

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

余命を知った後の「終活」は、最近の映画でよく目にするテーマ。今作の場合、主人公が割り切って、残りの時間、やりたい放題を決意する。その時点で、シリアスなドラマか、皮肉なコメディか、どう転ぶか微妙な雰囲気が作られ、それはそのまま継続。狐につままれた感覚に誘われるが、この真剣なのか、ふざけてるのか不明なムードが、ジョニー・デップの素顔のキャラを代弁してるようで、そこに今作の魅力が凝縮。授業で酒やマリファナを楽しみ、ここには書けない大胆な「経験」もする主人公の姿は、ジョニーがやるからこそ愛おしい。はっきり言って物語や演出のみで判断すれば凡作。しかし演じ手が見事に重なれば佳作に変貌するという典型例では?

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

素顔に近そうなジョニー・デップがカッコイイ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

「パイレーツ・オブ・カリビアン」「アリス・イン・ワンダーランド」など、素顔が分からない派手なメイクで人間離れしたキャラクターを演じて人気のジョニー・デップが、本当に久しぶりに、素顔に近い顔のまま、実年齢に近い人物を演じる稀有な1作。気づけばデップも本年57歳。同僚役のダニー・ヒューストンと同世代には見えないが、実年齢はデップが1歳年下なだけ。死を意識して人生を振り返る男を演じるのに、年齢的に不足はない。主人公の人物像はカッコ良すぎてまるで現実味がないが、逆にそういう人物を演じてよく似合うところが、他の俳優には真似できない、ジョニー・デップという俳優ならではの特殊な技なのではないだろうか。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ジョニデ版『死ぬまでにしたい10のこと』

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

“末期がんを宣告された男が、余命180日をどう生きる?”という既視感バリバリの設定だが、それをジョニデが演じることで、世界観が広がるということを実証した“ジョニデ版『死ぬまでにしたい10のこと』”。綺麗事では済まされないブラックユーモア&Fワード&下ネタ満載のヤケクソ感は、ある意味セルフパロディに近い。それが逆に親近感を沸かせ、メイクや衣装に頼らぬ、イケオジ感も全開。演出の甘さゆえ、各エピソードがカオス化してしまった部分もあるが、ダニー・ヒューストンら、地味ながらもいい味出してる助演陣や、サッパリ90分にまとめた点など、ちょっとした拾いモノ感が強い。

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猿渡 由紀

ジョニー・デップ、地でやっている?

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

妻とうまくいかず、お互いに意地悪を言い合い、酒を浴びるように飲んで、ドラッグもやる主人公リチャード。でも娘のことは大好き。最近また名誉毀損裁判でアンバー・ハードと結婚している頃の状況が明かされただけに、ジョニー・デップは「地でやっているのでは」と、つい思ってしまう。しかし、エキセントリックで反抗的なデップの魅力とカリスマを求めるファンには満足だろう。残念なのは、映画として、「人生をどう生きるか」というまじめなメッセージが、リチャードの言葉と行動から正しく伝えられていないこと。治療を受けないと最初に宣言した後、一度も迷わないところなども、いまひとつ説得力に欠ける。

この短評にはネタバレを含んでいます
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